【インタビュー】It’s time for FANTASTICS!飛躍への確かな予感

ツアーの一幕
ーー演劇とライブパフォーマンスの二部構成というスタイルは、エンターテイメントを見まわすと長く受け入れられている形ではありますが、LDHでは前例がないので新鮮でした。そもそもこういった形になったのはなぜだったんでしょうか?

佐藤大樹(以下、佐藤):ライブをやることになったけれど、シングルを3枚しかリリースしていなかったので……現実的に2時間のライブを作り上げるのは不可能だったということがひとつ。それと、以前、FANTASTICSとHIROさんで話をさせていただいた時に、FANTASTICSは将来的にどうしたいのか?という話になったことがあり、その時、全員がお芝居をやりたい、と。それで、ツアーで演劇にも挑戦してみるのはどうか?とご提案をいただきました。内容は僕たちでやりたいことを決めて、鈴木おさむさんが脚本と演出をしてくださって、このSOUND DRAMAというライブが完成しました。

ーー鈴木おさむさんにこういうことをやりたいと具体的に伝えたり?

世界:そうですね。僕たちがやりたいことをヒアリングしてくださり、台本を書いていただきました。

佐藤:まず最初にやりたかったことというのが、ライブの最後に『Trun Back Time』で会場をピンクの照明で染めたいということと、翔太(中尾)のことを伝えたい、『FANTASTIC NINE』というタイトルについて伝えたいということがまず第一にありました。そこからどう表現するか、一人ひとり他にやりたいことや得意なことがあるかメンバーにヒアリングしてくださって、今の僕たちの表現の中で何がベストかということを書き上げてくださいました。やりたかったことを全部具現化してくださいました。

ーー鈴木おさむさんという存在は力強かったと思いますが、これまで前例がないことですから、演劇とライブ、SOUND DRAMAって、実際にどうなるのかってイメージは湧きました?

佐藤:最初は全然でした。1時間超えの演技だったので、台本も結構な長さでしたし、稽古で本読みしている時も、どうなるんだろうというのは思いながら稽古していました。

ーーこれは自分たちが作る新しいエンターテインメントだと手応えというか確信を感じた瞬間はありましたか?

佐藤:演劇で張った伏線をライブで回収する場面がたくさんあって、それをお客さんが気づいてくれた時の反応を感じた時ですかね。僕たちにしかできないことでもありましたし、やっていないことだったのですごくうれしかったです。特に、慧人(木村)も言ってくれていたダンストラックでドラムを叩いた時はすごく面白いことが表現できているなと感じました。

世界:演劇というより、台本はあるんですけどフィクションじゃないので。全部僕たちが歩んできた道やファンの皆さんに伝えたかったこと、メンバーに伝えたかったこと、自分自身に伝えたかったことをこのSOUND DRAMAというコンセプトで表現できたと思います。

ーー演劇パートでも世界さんは、大活躍でした。笑わせてもらいました。

世界:今回のお芝居の中ではツッコミ役だったので1対7になるシーンが結構あって、やっていて楽しかったです。コメディー要素が強く、絶対本人だったら言わないであろうセリフもそれぞれ言っていたりもするので、メンバー同士が楽しみながらできたツアーだったと思います。ファンの皆さんもそれを観て笑ってくださったのでうれしかったです。サウンドパートの照明だったりクリエイティブな部分もこだわって、パントマイムにも挑戦させていただいて僕自身も表現したかったことを表現できたので1歩踏み出せたライブになったなと感じています。

LDHにはいろいろなグループがあるのですが、FANTASTICSというチームは本当にたくさんの方に応援していただいているチームだなと改めて感じました。僕たち自身も絶対に忘れられないこともあったし、忘れたくないこともデビューさせていただく前からたくさんあったんですけど、ライブを観に来てくださる方には笑顔になってほしいし、喜んで帰ってほしいという想いが強かったです。台本を読んで、稽古をしている時、最初はみんな戸惑いもあったと思うんです。でもやっぱりやっていくと……最初はツアーの形がすごく角張ったものだとしたら、だんだんそれがメンバー同士で削られて綺麗な丸になった気がして、それは普通のお芝居ではできない経験だったと思います。

ーー単独ですし、SOUND DRAMAですし、リハーサルは一般的なツアーも長かった?

世界:2カ月半ぐらいですかね。

佐藤:いつもの倍ですね。

中島:リハーサルが芝居の稽古から始まるのは新しかったです。

世界:通常はステージセットの図面を見ながら、構成だったりセットリストを作っていきますが、本読みから始まりました。ただ、SOUND DRAMAじゃなかったらどんなライブをやっていたんだろうってみんなで考えたことがあったんですけど、答えがパッと出てこなくて。だから成るべくしてこのSOUND DRAMAになったんだろうなと思います。

ーー先ほど、慧人さんが「続けていったら本当に武器になる」とおっしゃってましたが、今後楽曲が増えてきてもライブで演劇はやりたい?

世界:そうですね。今回は本人役を演じていますが、多分今回のツアーを観に来ていただいた方は本人ではない役を演じているところも観たくなるんじゃないかなって思うんです。このメンバーはこういう役をやったら……という想像も広がって。短くてもやりたいですね。