AIと人間が融合した「TEZUKA2020」新作漫画『ぱいどん』お披露目。まさかの連載も視野に

クリエイティブの総指揮を担った手塚眞氏

“AI美空ひばり”は本人の肖像。今回とはケースが違う


 お披露目イベント後の囲み会見で眞氏は改めて「何年もやっていけばある程度の完成度にはなると思ったが、最初はこの1枚(扉ページ)なんじゃないかと思っていた。まさか漫画の形に持っていけるとは思っていなかったので奇跡に近いと思っている」と話した。

 イベントで触れた「連載」を含む今後の展開については「もしこのプロジェクトが続く可能性があれば、もっとAIが関わることが多くなると思うし、もっとクオリティーは上がっていくと思う。今後については今回の成果を踏まえて検討していくことになるが、プロジェクトとして続けられるだけの物量的なものを持てるかどうかが決め手になる。例えばこのためのスタッフを常に抱えていられるかどうか。実際に漫画にするために何十人もの人の手がかかっている。そのチームを続けられるかどうかというような検討になってくる。最初は通常の漫画の10倍くらいの手間がかかっている」などと作品のクオリティーを支える優秀なスタッフの確保が一番の問題であることを明かした。

 またAIといえば昨年末のNHKの紅白歌合戦での故美空ひばりさんのCG出演について多くの否定的な声があげられたのだが眞氏は「美空ひばりさんの場合は本人の肖像だった。その場合はディレクションする人間の考え方によって左右される。今回は本人の肖像ではなくて、あくまで作品。これまで手塚治虫の作品をもとにたくさんの漫画家さんがリメイクをしている。実はすでに手塚治虫がもとになった新作は世にたくさん出ているわけ。今回はたまたまそれをAIでやったということに過ぎないわけなので、美空ひばりさんの場合とはケースが違うと思います」との見解を示した。