松本穂香 父は酒に溺れ、母は新興宗教にハマり…難しい役どころに挑戦!

©菊池真理子/秋田書店©2019 映画「酔うと化け物になる父がつらい」製作委員会
 家族間の葛藤をときにユーモラスに、ときに繊細に綴り、家族を持つ誰もが共感できる作品となっている本作。同時に、原作と同じく、“家族の感動ストーリー”で終わるのではなく、アルコールの問題を抱える人や、その家族の心情にも丁寧に寄り添っていく。

「私も、ほんの少しですが、そういった悩みを抱えている方のことなどをリサーチしてみたりしました。アルコールの問題は、本人だけでなく家族にも大きな影響を及ぼすと、改めて思いましたね。現実に直面されている方とは比べようもありませんが、私も子供のころは周りの大人が酔っている姿を見たときはイヤだなと思う時もありました。菊池先生からもお話を伺ったのですが、先生ご自身は、お酒は飲まなくても一緒に行った男性にお酒をつい勧めてしまうそうです。男性はお酒をたくさん飲むものだ、という思い込みがいまだに抜けない、と。本当に、思いもよらない影響を与え続けてしまうものなんだなと思いました。私自身は、お酒を飲むと少し涙もろくなるタイプであることを自覚しているので(笑)、お酒はほどほどにしておきたいなと思っています」

 家族との葛藤をマンガで笑いに変える主人公。そのモデルである原作者・菊池氏の印象は。

「菊池先生は強い方だな、と思います。自分の人生を1冊の本にするなんてすごく勇気がいることだし、それがまた映画になるなんて、覚悟がないとできないことだと思います。作品が完成して、試写のときに先生とお会いしたのですが、すごく喜んでいただけて、本当に良かったと思いました。とくにラストの部分は涙が止まらなかったと仰っていました。この映画で、ずっと聞きたかったお父さんからの言葉を聞くことができたと仰っていて、私もそれを聞いて胸が熱くなりました」

 日ごろのストレスや葛藤を笑いに変えることも、ときには大切。

「私はお笑いが大好きで、よくお笑いライブを見に行ったり動画を見たりしています。映画やドラマとはまた違う世界なので、すごく気分転換になるので大事な時間です。特にジャルジャルさんのファンで、自分でチケットを買って単独ライブにも行かせていただいています(笑)。大阪出身で、子供のころから新喜劇も毎週見ていましたし、日常の中にお笑いがあるのが当たり前だったんです。どちらかというとツッコミを入れるタイプです(笑)。何かムッとすることがあっても、実は心の中で毒舌ツッコミを入れていたりするので、あまり自分の中にネガティブな気持ちを抱え込まないほうですね。あとはやっぱり、ファンの方からの声にすごく助けられています。一番うれしいのは、私のお芝居で元気が出たとか、自分も頑張ろうと思った、という言葉を頂いたときです。私のほうこそ、そんな皆さんの声が糧になっています」

 今年は話題の出演作も続々と公開。どんどん新しい一面を見せてくれそうだ。

(TOKYO HEADLINE・秋吉布由子)
『酔うと化け物になる父がつらい』
監督:片桐健滋 出演:松本穂香、渋川清彦他/1時間35分/ファントム・フィルム配給/3月6日(金)より新宿武蔵野館他にて公開 https://youbake.official-movie.com/
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