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vol.728
日本のエースが輝き放った東京マラソン2020

大迫、2時間5分29秒の日本新!


 エースの返り咲きに日本中が湧いた。早春の東京の風物詩「東京マラソン2020」が3月1日に行われ、大迫傑(Nike)が自らが持つ日本記録を更新する2時間5分29秒でゴール。大会は、ビルハヌ・レゲセ(エチオピア)が優勝。大迫は日本人トップの4位だった。

 ゴール前の直線に入った大迫は、大きく手をあげて笑顔を見せた。自らが持つ日本記録の更新が確実となり、何度もガッツポーズ。すごみのある表情でゴールテープを切った。

「自分のぺースでしっかり走れればいい」。大会前の記者会見で宣言した通りのレースだった。

 大迫は20キロを過ぎてトップ集団から遅れ始めたものの、自身のペースでしっかりと走り、30キロを過ぎたあたりから盛り返した。32キロ地点で井上大仁(MHPS)を含む前の集団に追いつくと、ペースをあげて集団を引き離しにかかった。37キロのあたりでユニフォームをめくりあげて脇腹を押さえるシーンもあったが、集中を切らすことなく4位でゴールテープを切った。

 レース後、ゴール時の心境を聞かれた大迫は「9月に(MGCで)3番になってから、非常に苦しい戦いだったんですけど…」と、流れ出る涙を隠すようにユニフォームで顔をぬぐい、「しっかりした走りを見てもらえて良かった」と涙声で語った。

 レース中は、細かくタイムを確認しながら走る様子が目立った。一緒に走る選手との戦いは言うまでもないが、何よりも自分と向き合ってレースをしているように見えた。トップ集団にいる時も、後方で走っていた。「自分のキャパシティーを超えないように、できるだけついていこうという感じだった。先頭に行ってしまうとペースのアップダウンが激しかったりで、後ろで様子を見ながら走っていました」と語る。

 一時、集団から離れた場面もあった。「20キロ21キロ過ぎで、もうだめかなと思ったんですが、自分のペースで刻んでいければと信じて走っていました」と大迫。記録更新を意識したのは38キロぐらい。ゴール前最後の直線に入ると「記録も切れると分かったし、後ろに日本人選手もいないと分かった。最高の直線でした」と、振り返った。

「山あり谷ありというか焦ったシーンもあった(レースだった)が、結果として日本記録。ベストを尽くせた」と清々しく語る大迫。自分を信じてつかんだ文句なしの日本新。エースの視線は、東京五輪へと注がれている。
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