不毛の土地を究極の自然派農場に変えた男『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』


 彼のように田舎暮らしや農業にあこがれる都会人は少なくないが、そこには多くの難関があるのも事実。本作では、知人を中心にクラウドファンディングで資金を集めるところから、荒れた土を数年がかりで再生、豊かな農地へと変えていく軌跡が、その陰にあった困難とともに、ありのままに描かれている。
「今ではウチの農場を見学するために世界中から人がやってくるし、講演にも呼ばれるのだけど、農業にはいろいろなやり方があって、僕らのやり方が絶対的な処方箋になるわけではないんだ。僕が新しく農業に参入したいという人に伝えているのは、自然の見方を身に着けることが大事、ということ。観察力、好奇心、謙虚さ、創造性をもって自然を見つめること。自分の計画が、生物多様性や土壌の再生にどんな影響を与えるかを考えれば、自ずとどんな方法を使えばいいか答えが出てくると思う。農地が豊かになったことで野生の鳥や動物たちもやってくるようになって、今度は彼らに悩まされるようになった。でも観察することで、答えを見つけることができたんだ。まさか自分の農場でボブキャットまで見ることになるとは思わなかったけどね(笑)」