3月12日は「世界腎臓デー」慢性腎臓病(CKD)対策の重要性



 埼玉医科大学腎臓内科教授の岡田浩一先生は、改めてCKDの定義を「尿や血液、画像診断といった腎臓疾患の検査で何らかの異常がある。そしてGFRという腎機能の指標が60mlを下回った状態。いずれかが3カ月以上持続した場合、慢性腎臓病ということになる。特に検査の中では、検尿におけるタンパク尿の陽性が異常値の中でも最も重要」と強調し、なぜタンパク尿の異常が重要なのかというと「検診時をゼロポイントとして、何らかのタンパク尿の所見が出た人が10〜15年経過すると、将来的に末期腎不全に到達する可能性が高くなる」と解説する。また、中年・壮年期においてGFRが60mlを下回っている人は、平均余命の間に腎機能が廃絶してしまう可能性にも言及した。
埼玉医科大学腎臓内科教授の岡田浩一先生
 ところが、CKDの認知度は決して高いとは言えず、20〜50代の一般消費者(1727人)を対象としたあるWEB調査では「『慢性腎臓病』という言葉を知っているかという質問には約50%が知っているという回答だったが、20代の若年層になるほど認知度が低いという結果が出ている」と岡田先生。また、健康診断の尿タンパクがCKDとつながりが深いことは認知されているが、血清クレアチニンやeGFRが関わっているとの認識は低く、そもそも「分からない」という回答も多かった。さらに、健診での異常を放置すると将来的に心血管系合併症のリスクがあるということの認知度も低かったのだとか。こうした調査から「若年層や健康意識の低い集団に対して効率的な情報発信によるCKDの啓発が早期発見・早期治療に重要」と結論づけた。