『スタンフォード式 最高の睡眠』西野教授が語る「睡眠のメカニズム」

西野精治教授【インタビュー・後篇】
 新生活のスタートでより良い睡眠を取るにはどうしたらいいか、ベストセラー『スタンフォード式 最高の睡眠』著者で米スタンフォード大学医学部精神科教授、株式会社ブレインスリープ代表取締役の西野精治先生に「日本人の睡眠」について聞くシリーズ。後篇では西野教授に詳しい「睡眠のメカニズム」について聞き、そこから「睡眠の質」を改善するポイントを探る。
「睡眠のメカニズム」について語る米スタンフォード大の西野精治教授(撮影:蔦野裕)
 世界一短いという日本人の睡眠時間。では、どうすれば「睡眠の質」は向上するのだろうか。

西野精治(以下、西野)「一番大事なのは睡眠時間を十分取ることですが、なかなかできない人も多いと思います。そうなると限られた時間の中で質の良い睡眠を取ることが重要で、たとえば入眠が困難な人は、そこがスムーズになれば睡眠時間が確保できるし、深い睡眠が取れますね。睡眠と覚醒は裏表のセットで、睡眠に影響の出るような生活は朝から始まっています。ですから朝はできるだけ活動して太陽の光を浴び、夕方以降はできるだけリラックスして頭を使わないようにする。メリハリのある生活、オンとオフが大切です」

 現在の自分の「睡眠の質」を知るのに気をつけたいポイントは?

西野「非常に難しいのですが、ひとつのポイントは目覚めの良さ。目覚めがいいということは、明け方に自然に起きる準備ができていて、睡眠量がある程度足りていると言えます。医学用語ではありませんが、今の日本人にとって『睡眠負債(日々の睡眠不足が借金のように積み重なる状態)』は大きな問題です。週末に普段より長く寝てしまう人は、慢性的な睡眠不足である可能性が高い。週末に長く眠ること自体は体が必要としているので悪くありませんが、慢性的な睡眠不足はそれでは解決できませんし、その兆候があるとすればむしろ危険信号でもあります」
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