アンジュルムを卒業した和田彩花 「自分の身体と声を通して、表現していきたい」
菊池 アイドルを見ていると、私たちも追いかけながら葛藤するんだけど……、結局行き着くのは、“彼女たちが幸せであれば、それがすべて”って思うんですね。卒業した後も、アイドルでいようと思ったのはなぜですか?
和田 卒業して自分がやりたいことの肩書を考えたら、アイドルか活動家しかないなと思っちゃって。アイドルを選ぶしかないじゃないですか(笑)。やりたいことはたくさんあるので、アイドルの中で表現した方がわかりやすいだろうなって。誤解を恐れずに言うと、私にとってはその方がいろいろなことが可能になるなって思ったんですね。
菊池 大好きなアイドルという存在が、どんなことを考えて発信しているのか気になって。その発信を自分の考え方と照らし合わせて、自分の視野も広がる――、和田さんはそんなきっかけを与えてくれるアイドルになるんじゃないのかなって、私は思うんですけど、自分の考え方や思考を、アイドル・和田彩花として発信することに、「怖い」と思ったりはしないんですか?
和田 グループにいたときから「怖さ」みたいなものはなかったんですけど、言葉で伝えていかないと、気が付くこともできなくなっていくと思うんです。そこに対する不安みたいなものはあまりないですね。
菊池 大学に通い始めたこともやっぱり大きかった?
和田 大きかったと思います。私は大学で美術を学んでいたので、美術を通して考えることや言葉にする力が養われたと思います。学問として美術を扱っていたからこそ、自分のちょっとした日常の疑問が問題として定義できるところもあるんですね。そういった思考の仕方は、大学に通っていたからこそかもしれないです。
菊池 私は……和田さんのキャンパスライフを一緒に過ごしたかった。って、アレ? 話が全然関係ない方向に(苦笑)
和田 あははははは!
菊池 在学中もアンジュルムとして活動していたから、その中でちらっと垣間見える学生としての和田さんの雰囲気が、私の中ですごいキラキラして見えたんですよ。学校に通いながらアイドルをするって、すごく前向きで素晴らしいことだなって、私は思いました(笑)。
和田 ありがとうございます!(笑)
菊池 修論を書き終えて、卒業が間近に迫っていますけど、今の心境は?
和田 修論は大変でしたけど、終わって気が付いたのは、悔しさでした。すっきりした感じもないし、達成感もなくて(苦笑)。修論こそ終えたけど、自分はスタートに立ったに過ぎないんだなって。絵を説明する力や、どんな言葉が適切なのかとか、自分の中で「まだまだだったんだな」って、最後の方に気が付きました。これからは自分の表現に、もっとフォーカスを当てていくと思うんですけど、伝えることや言葉にすることはずっとあるものだと思うんですね。美術もずっと紹介してきたい。今まででは、教えてくれる先生が身近にいてくれたからできたことでもあります。