民泊はコロナ禍とどう向き合う!? “副産物を生み出す”川越「古民家 惠比壽屋」の挑戦

天井が高く広々としたお風呂

 さらに、お風呂まで開放している。しかもただのお風呂ではない。古民家を改築し、純和風のこだわりぬいた広々としたお風呂。なんでも、外国人からは大好評だとか。

「フェイスブックで、「今日は居酒屋をやっているので、お風呂も炊いておきます。お風呂も入りたい人は着替えとタオルを持ってきてくださいね」という具合に告知しています。すると、地元の方がふらっとお風呂に入りにくるんですね(笑)」

 海外のゲストハウスなどに行くと、宿泊のついでに宿でオプショナルツアーを申し込むといったことが珍しくない。日本では、旅館業法と旅行業法が分かれているため、双方の資格を有する場合でしかそういった“プラスアルファの宿泊業態”を作り上げることはかなわない。そのため、宿を起点にさまざまな試みを展開することが難しくなりがちなのだが、「古民家 惠比壽屋」では、居酒屋、お風呂という副産物を設けることで、回遊率をアップさせている。

 本来、制限があることからリターンを生み出すことが難しいとされる住宅宿泊事業だが、溝井さんのアイデアは日本の宿泊事情や、空き家事情を鑑みたとき、大きなヒントを秘めている。

「デッドスペースをそのままにしておくのはもったいないですよね。使えるものは使って、利用していただければ。せっかく古民家という素晴らしい空間があるのだから共有したほうがいい。僕はちょっとだけお金をいただいて、お客さんは気持ちよく足を伸ばしてのんびりと湯につかってもらう(笑)。そのあとに、美味しいビールを飲みながら、宿泊客と交流を重ねる。双方にとって、心地よいコミュニティを生み出すために、使えるものは使おうと」