民泊はコロナ禍とどう向き合う!? “副産物を生み出す”川越「古民家 惠比壽屋」の挑戦
「箱階段を上ると格子窓のある10畳の和室があるのですが、月に2回、お琴と三味線の教室を開いています。私たちはその奥にある8畳の和室を生活スペースにしています。入り口の土間のスペースは、通常は織作品を置いていますが、定期的にライブや映画鑑賞会を開くために、開放することもありました」
過去形なのは、コロナの影響が拡大しているからだ。
「惠比壽屋は、我々だけで運営しているため人手がかからずに、飲食など他のことでカバーできるところもあるため、どうにかやれている。でも、それだってきつい(苦笑)。ホテルや旅館はもちろん、民泊も大打撃を受けている」
東京五輪が一年後に延期になったとき、はたしてどれだけの宿泊施設が残っているのか。やはりしかるべき補助は必要だろう。
一方でたしかに、自粛(の呼びかけ)は、現在の状況を考えるとやむを得ない。だが、覚えておいてほしいのは、単に“営業・活動を休止している”だけでなく、“コミュニティの停止”と連動している場所もあるということ。自分にとってはどうでもいいことでも、そこに来る人々にとっては欠かすことのできないことかもしれない――、そういった想像力は忘れてはいけない。
「川越は本当に良い街です。ここに住む人は、みなさん川越LOVEです(笑)。
コロナが落ち着いた際は、もっと面白い川越を発信しているはず。川越は、江戸時代から明治の蔵造りの街並みが残る「川越一番街」のイメージが強いかもしれませんが、大正から昭和初期のレトロな店舗が並ぶ「大正浪漫夢通り」もある。もちろん、戦後から平成に建てられたお店もたくさん残っています。江戸、明治、大正、昭和、平成、令和、すべての時代の空気感が凝縮した街なんですよ」
溝井さんは、「日帰りの街・川越なんて呼ばれていますけど、とてもじゃないけど一日で周りきれない。うちに泊まってくれた静岡から来た女子大生3人組は、川越を気に入って2週間後にまた来てくれたくらい。騙されたと思って一度泊まってみてほしい」と笑う。
現在、川越には宿泊できる古民家が5~6軒ほどある。この騒動が落ち着いたら、
のんびりと風呂につかりに、惠比壽屋を訪れてみたい。
(文 我妻弘崇/写真 高久仁)
住所:埼玉県川越市石原町1丁目 6-7
TEL:049-270-0922
HP:https://mapleeihide.wixsite.com/ebisuya
料金:素泊まり 一人5000円~(時期によって変動あり)