『まちの本屋』の著者・田口幹人「本屋になれる」オンラインサロン開設
そして取次に入社してFoyer(ホワイエ、書籍の小部数卸売サービス)という仕組みを活用してもらうために、オンラインサロンを立ち上げた。
「この一年間はその準備期間として、ひとつはアプリを使った書店販促、書店員がアプリを活用してどう本を売るかという仕組み作りに取り組んだ。もうひとつはホワイエをより使いやすくしていきたいというのがあったんです。ところが小部数の卸売というだけあって、仕組みを作った後に社内でリソースに限りがあることが分かりました。じゃあ、ホワイエという枠組みを使って本屋の開店前と開店後の準備をサポートしましょう、というのがこのオンラインサロンです。3月に日経ビジネスで取り上げていただいて、過去これまでにないほど多くのお問い合わせやお申し込みをいただきました」
本を1冊から卸売するホワイエ。申し込んだのはどんな人たちが多いですか?
「飲食店、石油販売店、自分の小さなスペースを使って週末だけ本屋をやりたい人……いろいろな人がいます。この人たちと一緒に『本屋って何?』ということを、もう一度みんなで考えていきたいんです。僕らがやろうとしているのは、より身近な形でより気軽に、当たり前の生活の中に本がある環境を作ること。そのためには、無理して家賃を払って出店することから組み立てるのではなく、身の丈の範囲で出来る本屋の形を探すことだと思うのです。であれば、今の自分の生活圏の中に、本屋がある必要性はどこにあるのか、本屋をやりたいと思っている人を通じて一緒にやりたいと思っています。もう一度、本って何だろうと業界の人たちも考えるきっかけになればうれしいし、今後、本や出版の流れが大きく変わってくる中で、一歩踏み込んだ形でやれたらいいですよね」
オンラインサロン「もういちど、本屋へようこそ 〜知を編み、血を継ぎ、地を耕す〜」は全10回講座。書店の人、書店を作った人、出版社、著者、本屋で町おこしを考えている自治体など、すべての回でそのテーマの専門家をゲストに迎える予定だという。