新型コロナ日本での感染初確認は1月16日。そのとき今の状況を想像した人はいただろうか…【ニュースで見る新型コロナウイルス】

チャーター機で在留邦人が武漢から帰国(写真:ロイター/アフロ)

◆1月27日


 中国国務院(政府)が30日までの春節(旧正月)の休暇を2月2日まで延長。上海市は市内の企業を2月9日まで休業とする措置を発表。感染しにくいとされてきた子供の感染例も一部で出始め、中国で全国で少なくとも子供6人の感染が確認。北京で4歳、上海市で7歳、広東省で6歳の感染が明らかになった。北京市では初の死者が出る。

 米国は中国への渡航の警戒レベルを4段階中2番目に高い「再検討」に引き上げる。中でも湖北省への渡航は最高レベルの「渡航禁止」に。

 中国の杭州で2月12、13日に開催予定だった陸上のアジア室内選手権が中止となる。

◆1月28日 武漢市からのツアー客を乗せたバスの運転手が感染


 日本国内で新たに3例の新型コロナウイルス感染者が確認される。1人は奈良県在住の60代の日本人男性。武漢市からのツアー客を乗せたバスの運転手。同市への渡航歴はなかった。日本国内で人から人に感染した初の事例となった。国内感染とみられる日本人の確認も初。残る2人は武漢市在住の40代男性と40代女性で、それぞれ愛知県と北海道で肺炎と診断された。これで国内で感染が確認された患者は計7人となる。

 日本政府は新型コロナウイルスによる感染症を感染症法に基づく「指定感染症」と閣議決定(2月7日施行)。これにより、患者の強制的な入院や就業制限ができることになる。夜には武漢市に滞在する邦人の帰国のためのチャーター機1機が羽田空港を出発する。

 中国本土での感染者は計4515人、死者は106人。

 香港政府は中国本土から香港への個人旅行を一時、停止することに、北京の中央政府が同意したと発表した。中国本土との間の高速鉄道や直通列車も一時、停止する。シンガポールは湖北省を2週間以内に訪れた渡航者と同省で発行されたパスポートを持つ中国人の立ち入りを29日昼から禁止すると発表した。

 余談となるが、翌29日には香港の林鄭月娥・行政長官がマスクを着けて記者会見する写真が香港各紙の1面を飾る。香港政府はデモ参加者のマスク着用の禁止を求めて香港高等法院で係争中。

 2月6~9日に中国の仏山で開催予定だった東京五輪出場枠をかけたバスケットの女子最終予選がベオグラードに変更される。

◆1月29日 武漢からのチャーター機が到着


 武漢市を含む湖北省に在留する邦人206人を乗せたチャーター機が朝に羽田空港に到着。機内での検疫検査では新型肺炎の発症者はいなかったが、2人が帰国後の検査を拒んで自宅に戻る。症状がなく宿泊を希望する人は、千葉県勝浦市のホテルで経過観察することとなる。

 日本人初の感染例となった奈良県在住のバス運転手の60代男性が運転するバスに同乗していた女性のツアーガイドが新型コロナウイルスに感染したことが確認される。女性は外国籍で、大阪府在住の40代。武漢市への渡航歴はない。国内で8例目の感染。

 夜にはチャーター機の第2便が武漢市に向けて羽田空港を出発する。

 シンガポールが湖北省住民を対象に入国を禁じる。

 中国本土で感染者は6055人、死者は133人。2003年に世界で流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の中国本土における感染者は5327人で、29日までにこれを上回る。中国科学院などのチームが、新型コロナウイルスはもともとコウモリ由来で、武漢市の海鮮市場で売られていた野生動物が媒介し、人に感染したとみられる、と英医学誌ランセットに発表した。

◆1月30日 政府が新型コロナウイルス感染症対策本部を立ち上げる


 武漢市を含む湖北省からの第1便のチャーター機で帰国した日本人206人のうち、40代男性、50代女性、50代男性の3人が感染していたことが分かる。この日は第2便のチャーター機で邦人210人が羽田空港に到着。夜に第3便が羽田空港を離陸した。帰国者が宿泊する千葉県内のホテルが相部屋になっていることが発覚。

 厚労省は中国湖南省在住で東京都内の医療機関を受診した外国籍のツアーコンダクターの30代女性と、三重県居住の外国籍の50代男性、京都府の20代女性の感染を発表。国内での感染確認は計14例となる。

 日本政府は安倍晋三首相を本部長とする新型コロナウイルス感染症対策本部を立ち上げ。安倍首相は参院予算委員会で新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大をめぐり、台湾の世界保健機関(WHO)参加の必要性を主張した。

 中国湖北省は夜、新型コロナウイルスによる肺炎の感染者が新たに317人確認されたと発表。これにより世界の感染者は8100人を超え、2003年のSARSの8069人を上回った。チベット自治区でも初めて感染者が確認され、中国の31省・自治区・直轄市の全てで感染者が確認された。

 3月5~8日に中国・海南島のブルーベイGCで開催予定だった女子プロゴルフの「ブルーベイLPGA」が中止に。

◆1月31日 チャーター機の利用費が政府負担の方向に


 WHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言。米国務省はこれを受け、中国全土への渡航勧告について、4段階のうち上から2番目の「再検討」から最高の「渡航中止」に引き上げる。なおWHOは渡航制限の勧告は見合わせたのだが、フランス紙ルモンドが30日付で中国政府がWHOに対し、緊急事態宣言を出さないよう圧力をかけたと報じるなど中国経済に打撃を与えないよう配慮したとも受け取る向きもあった。またWHOは今回の肺炎を暫定的に「2019年新型コロナウイルス急性呼吸器病」と名付けた。

 日本の外務省が中国湖北省を除く中国全土に対する感染症危険情報を、4段階の中で不要不急の渡航の自粛を求めるレベル2に引き上げる。湖北省については渡航中止を勧告するレベル3を維持。

 安倍首相が1人当たり約8万円を請求する方針だったチャーター機の利用費について「政府が負担する方向で検討する」と表明。与野党からの異論を受けて転換。

 インターネット上で「五輪中止」とのデマがインターネット上で一時拡散。小池百合子東京都知事が会見で完全否定する一幕も。

 中国の感染者は31日夕までに中国本土で9782人、死者は213人となった。

 中国の海南省で28日開幕の予定だった卓球のアジア・カップが延期となる。
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