夏の高校野球 『心の原点』【アフロスポーツ プロの瞬撮】

 スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。
撮影/文章:西村尚己
夏の風物詩である高校野球。
しかし、今年は新型コロナの影響で甲子園大会が中止となった。
夏の高校野球に思い入れの強い私にとっても残念でならない。

少年時代、私は夏休みに入ると地方大会から甲子園大会まで、高校野球のテレビ中継にくぎ付けになった。

真夏の太陽、青い空と入道雲。
空高く舞い上がる白球。
ぎらぎらとした瞳、そして光る汗。
泥まみれのユニフォーム。
一球入魂、渾身のプレー。
栄光と挫折。

野球少年でもなかった私が魅せられたもの、それは高校球児から見える“生身の人間らしさ”であった。
形振り構わず感情を爆発させ、その瞬間、瞬間を精一杯プレーする直向きな姿。
私にとっては、とても眩しく憧れの存在であった。

そして私自身が高校球児と同世代に成長するにつれて、ある欲求が芽生えてきた。
“高校球児たちが輝く一瞬の姿を、写真として永遠に残したい”
大学入学後すぐにアルバイトをして買った撮影機材を抱えて夏の甲子園へ。
スタンド最前列からネット越しに初めて撮影した高校球児。
シャッターを切ったあの時の興奮は今でも忘れられない。
その時に撮影した写真がフォトコンテストで入選するという幸運も重なり、
それ以来私はスポーツ写真の世界に引き込まれていった。

あれからもう30年以上が経過した。
私のフォトグラファーとしての“心の原点”である夏の高校野球。
コロナ禍のいま、改めてすべての高校球児たちに“ありがとう”と伝えたい。

■カメラマンプロフィル

撮影:西村尚己

1969年、兵庫県生まれ。大阪大学大学院工学研究科修了。
人間味あふれるアスリートの姿に魅せられ、学生時代にスポーツ写真の世界と出会う。
大学卒業後は、国土交通省に勤務しながらアマチュアカメラマンとして活動するも、どうしてもプロの世界で挑
戦したいという想いが募り、2016年にアフロスポーツに転職。
現在は国内外のスポーツを精力的に撮影し、人間の情熱や鼓動、匂いなど五感で感じとれる作品づくりに励む。
2007年 APAアワード写真作品部門 奨励賞
2013年、2015年 写真新世紀 佳作 ほか
アフロスポーツ

1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している。

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