新型コロナウイルスと「新しい日常」【公益社団法人東京都医師会インタビュー】
東京都医師会館に設置されていたPCRセンターで検体採取に使用するボックス
少しずつ日常生活を取り戻して
今後「第2波」が訪れる予想や注意する点はありますか?
角田「呼吸器系の感染症は気温が下がって乾燥する時期にウイルスが増殖しやすく、大きな『第2波』は寒くなってくる10月以降ではないかと思います。海外では感染症対策の強化と緩和の繰り返しのことを『ハンマーアンドダンス』と表現し、今後も小さなクラスターが発生するなど、ちょこちょこ揺り戻しの波は来るはずです。夜の街クラスターは明らかにありますが、屋外の密集しない場所は接触感染に気をつければリスクは低いでしょう。
通勤・通学する方も増えると思いますが、やはりマスクと、つり革などをつかんだ後の手洗い、体調が悪い時には無理をせず必ず休むことも大切です。また、喫煙者が新型コロナに感染すると重症化率は2.2倍、死亡率は3.2倍に上がるというデータもありますので、この機会に禁煙を心がけてください」
コロナ禍で病院の経営状況がかなり悪化したとの報道もありました。
角田「一般社団法人日本病院会、公益社団法人全日本病院協会、一般社団法人日本医療法人協会の3団体による合同アンケートでは、4月の外来患者・入院患者ともに大幅に減少し、医業収益は全国で約15%、東京だけで見ると約30%も落ち込んでいます。5月はもっと落ち込むのではないかと予想され、コロナ患者受け入れ病院のほうが落ち込み具合は激しいです。一般の診療所でも、小児科や耳鼻科の外来患者はかなり少なくなっています」
最後に「新しい日常」に向けて改めてメッセージをお願いします。
角田「この1カ月半、本当によく外出自粛を守っていただきました。世界でも法的強制力のない自粛で、これだけ感染拡大を抑制した国は珍しいのではないでしょうか。これから再感染の兆候がなければ、3密、手洗い、マスクを行ったうえで日常生活を少しずつ取り戻していいと思います。新型コロナを過度に恐れ過ぎると、今度は体力の低下や社会的な孤立が心配です。ぜひお友達と会ったり活動したりしてください」
(TOKYO HEADLINE・後藤花絵)
公益社団法人東京都医師会副会長の角田徹さん(撮影:蔦野裕)