前田有紀、テレ朝アナからフラワーアーティストに転身した理由。 「人からどう見えるかではなくて、自分がなりたい自分でいること」



要 僕は『やべっちFC』の印象がすごい強いんですよね。

前田 ありがとうございます! 見ててくださっていたんですね!?

要 よく見させていただきました(笑)。

前田 ちょうど10年くらいアシスタントを務めさせていただいて、それをきっかけに今も(私のことを)知ってくださって、すごい貴重な機会をいただいていたんだなって、最近になってもよく感じます。

要 現在はフラワーアーティストをされているということで。テレ朝を退社されてからどれくらいが経つんですか?

前田 2013年に退社したので、7年が経ちますね。10年、『やべっちFC』を担当させていただいたので、あと3年で新しいキャリアとして同じ10年を積み上げることになります。より頑張らなくてはいけない! って感じています。

要 前田さんのインスタグラムを拝見させていただいたんですけど、とっても素敵なブーケがたくさんアップされていて。

前田 ありがとうございます! お花の写真を撮るのが好きで、いつも自分で試行錯誤しながら撮影し、インスタグラムにアップしています。

フラワーアーティストに転身しようと思ったきっかけを効くと、「アナウンサーをしている間に、スポーツ選手や俳優さんだったり、さまざまな世界で活躍して、好きなことをされている方にたくさん出会いました。インタビューを重ねていくうちに、自分も好きなことを仕事にしたら、どれだけ人生が変わるんだろうという好奇心が生まれたんですよね」。そう声を弾ませる。

要 もともとお花には親しみがあったんですか?

前田 子どもの頃から自然が好きで、「花と緑に関わることをしたいな」とずっと思っていました。テレビ朝日は、六本木にあるので自然とは真逆の「電波の世界」(笑)。そんな中で、ふと飾られているお花が癒しになるなど、都会の中で自然の良さを再確認することが多かったんですね。

要  とはいえ10年も勤めたテレビ朝日。迷いはなかったんですか?

前田 ありましたね。 今だと転職する方って多いと思うんですけど、その当時は周りを見渡しても、ずっと働き続けてたり、アナウンサーを辞めて違うキャリアを始めるという方は少なかったと思います。

要 テレビ局のアナウンサーを辞めて、フリーのアナウンサーになる人は珍しくないけど、前田さんはそうではないですもんね。

前田 あまり前例がないことをする……ということに対する不安がありました。親からも、「会社にかじりついていた方がいいんじゃないの」なんて言われましたし(苦笑)。自分が思っていることって、とんでもないことなのでは――。考え始めると本当に不安でした。

転職した今は、「思い切って新しい世界に飛び出すことで知ることができたこと、出会うことができた人が素晴らしかった! 私にとっては、あのとき勇気を出して良かったなって。一日も後悔する日がないくらい過ごしています」と朗笑する。これを聞いた要さんは、「僕は19歳からこの世界にいるから外の世界を全く知らないからそういう意見はすごく魅力的に聞こえます」 とあこがれを隠さない。

要 前田さんが心の支えにしていることってありますか?

前田 (独立前の生花店で働いていた)3年間の中で、「お花が好きだ」という気持ちが何よりも支えになりました。どんなに大変なときでも、お花はいつでも綺麗で、散っていく姿も美しい。日々触れているだけで元気になれました。  

要 健康にもなるわけですか!?

前田 体をめちゃめちゃ動かすんです。いろいろな重い荷物を運んだりしますからね。ジムなどには行っていないのですが、健康になった気がします(笑)。筋肉もつきましたし、すごくタフになった3年間だったと思いますね。

要  お花屋さんって、そんなに体力を使う仕事なんですか!?

前田 水がたっぷり入ったバケツはすごく重たいですし、2 メートルくらいある鉢を運ぶこともありますから、結構体力を使うんです。何かと重いものと向き合っている仕事だということは、意外に知られてないことかもしれませんね。ははは。

要 3年間、生花店で働いてきた中で、何か忘れられない言葉などはありますか?

前田 いっぱいあるのですが、「モノやお花には心がある」。これは師匠から学びました。 お花の苗もきちんとメンテナンスをしていないと枯れていきますし、お花にまつわる花瓶や雑貨も、日々綺麗に掃除をしていると、お客さんが手にとってくれるんです。ホコリが被っていたりすると、寂しく見えてしまったりしますよね。師匠が、すべての雑貨やお花に愛情を注ぐ方でした。愛情注いだものは、きちんとお客さんの手に渡っていくんですよね。

要 僕は、仕事柄お花をもらうことが結構あるんですよ。 ドラマのクランクアップなどで。でも、どうやってキープしていいか分からなくて、3~4日くらいで枯れてきちゃったりする……愛情が足りなかったのかな(苦笑)。

前田 (笑)。お花の育て方って、あまり誰かから習うものではないですよね。それに、花屋さんって入るまでに結構勇気がいると思いませんか? 

要  いります!

前田 ギフトを求めて入るなら別ですけど、「買わなきゃいけないんじゃないか」と思ってしまったり、“なんとなく入るには入りづらい”と思うんですね。私は、花屋さんと人の距離、お花と人との距離をもっと近づけていきたいなって。今後の自分の目標ですね。

要 お花を長持ちさせるコツみたいなものはあるんですか?

前田 季節にもよるのですが、基本はお花は水がないと生きていけないですから、お水を常に綺麗にしておくことは大事。お花を作っている農家さんにお話を聞いたときに、「人が飲んでも飲めるぐらい綺麗なお水がお花も好きなんだよ」と言われたことがあります。朝起きたときに花瓶の水を取り替えて、花の茎を2~3センチほど切ってあげる。切った部分から、新鮮に水を吸うことができるので、そういったことを心がけていただけると嬉しいです。