【徳井健太の菩薩目線】第67回 YouTubeチャンネル『徳井の考察』は、俺がほめたいものを紹介する楽市楽座
『徳井の考察』という YouTube チャンネルを、6月に開設した。
どうしてYouTubeに進出しようと思ったのか? いくつか理由はあって、その一つが『ゴッドタン』での反省。第64回 「リモート収録 は、「各番組の意地の見本市」だった 」で触れたとおり、俺は「なんて人を腐すのが下手なんだ」と痛感した。俺の腐りは、他者に対する毒性というよりは、自分に対する諦観だ。その後、『テレビ千鳥』や『アメトーーク!』に出演した際、「人を褒めるときはペラペラと言葉が出てくる」ことを再認識した。曙光がさす思いがした。
であれば――。誰かのためのYouTubeチャンネルを開設したいと思ったんだよね。
自らのパフォーマンスや承認欲求を満たすためにコンテンツを上げる YouTuber は多いけど、誰かのためにわざわざ配信をするYouTubeチャンネルはないような気がした。俺が、「心底ほめたい!」「もっと世の中に知ってほしい!」……そういうものをただただ紹介するだけのチャンネル、言わば“徳井の通販”的コンテンツを作りたかった。
7月初頭時点で、7人の芸人をチャンネル内で取り上げ、勝手にほめている。佐久間(一行)さんからは、「こんなに人が幸せな気持ちになる YouTube なんてあるんだね」なんて佐久間さんらしいうれしい言葉までいただいた。『徳井の考察』と聞くと、ちょっと上から目線に思われるかもしれないけど、このチャンネルで俺がやりたいことは、「ただひたすら俺がほめたいものをほめる」ということ。
自分で見直しても、今現在紹介している芸人の“憂い”感は否めない。もっとポップな芸人を扱った方が再生数は伸びるのかもしれない。だけど、どうしたって彼らをほめたいんだからしょうがない。不器用な芸人たちだからこそほめたい。売れっ子へと駆け上がる芸人は、勝手に世の中が担ぎだすけど、憂いを帯びた芸人たちは、そこから何かがないとハネない。俺は偉そうなことは言えないけど、ほめるくらいならできる。ほめられて嫌な人なんて、この世にいないじゃん。
今後『徳井の考察』では、俺が大好きな「蒙古タンメン中本」や「ボートレース」、京都・男前豆腐店の「やさしくとろけるケンちゃん(豆腐)」や「キンミヤ焼酎」などもほめていくつもりだ。2700、スリムクラブ、ジャンゴ、蒙古タンメン中本、ケンちゃん豆腐、キンミヤ……サムネイルを見たら、もう何が何だか分からないラインナップになっていくと思う。目指すは、骨董市で何を売っているのかよく分からないおじさんだ。ブルーシートを広げて、店主のおじさんがとにかく好きなものばっかりを並べている、あのハイブリットな幸せ空間。
店主は、とりわけてその商品が売れなくてもいいと思っていて、ただただ好きなものを並べていることに充実感を覚える。見てほしい気持ちもあれば、俺の愛してやまないものが、誰か人の手に渡たる――、お嫁に出す瞬間を待っているところもある。傍から見たら、鉄くずに見えるかもしれないけど、おじさんはそれを並べたいんだ。愛情があるものだからね。
『アメトーーク!』(「バラエティ観るの大好き芸人」)で語ることのできなかった、自分の好きなバラエティ番組、それこそ『ひるおび!』の恵さんの魅力もブルーシートに並べたい。“テレビ番組をほめる YouTuber ”として狂気の坂を転がり落ちていこうと思う。 『関ジャム 完全燃SHOW』についても語りたいなぁ。関ジャムの次にUPするのは「キンミヤ」だな。ようこそ、俺のブルーシートへ。
テレビではときに、美味しくないものでも美味しいという趣旨のコメントが求められる。まずいものをうまいということができない俺は、テレビタレントとしては致命的だと自覚している。愛があるからほめることができるのであって、愛がないものに対してほめ言葉は出てこない。その点、俺の相方は偽りの愛を語れる偽装結婚のプロだ。ありがとう、吉村。俺にはできない。自分がほめたいものだけをコレクションにして、ただただ配信する。たしかに、これはテレビではできないものだし、 YouTube ならではの個人的な楽しみ方と言えるかもしれない。更新していくうちに、俺自身も手応えや反省があるだろうから楽しみだよね。
勝手にほめて、それで誰かが喜んでくれて、経済とは違う何かが回ってくれたらうれしいよね。徳井健太の楽市楽座で遊んでいってほしい。『徳井の考察』がいつまで続くかは分からない。だけど、この世の中からほめるものがなくなったら終わりだろうな。そうなったら世の中も終わりだろうな。とりあえず、グリーンバックを買おうと思う。
【プロフィール】
1980年北海道生まれ。2000年、東京NSC5期生同期・吉村崇と平成ノブシコブシを結成。感情の起伏が少なく、理解不能な言動が多いことから“サイコ”の異名を持つが、既婚者で2児の父でもある。吉本興業所属。公式ツイッター:https://twitter.com/nagomigozen
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UC-9P1uMojDoe1QM49wmSGmw
1980年北海道生まれ。2000年、東京NSC5期生同期・吉村崇と平成ノブシコブシを結成。感情の起伏が少なく、理解不能な言動が多いことから“サイコ”の異名を持つが、既婚者で2児の父でもある。吉本興業所属。公式ツイッター:https://twitter.com/nagomigozen
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UC-9P1uMojDoe1QM49wmSGmw