無糖炭酸水ブームの秘密を探る!!

 夏本番を前に無糖炭酸水市場が活性化している。外出自粛などでもやもやとした閉塞感が漂う中で、爽快感やリフレッシュを求める人や、在宅時間の増加で運動不足となり健康意識がより高まった人たちが、無糖炭酸水を選ぶ機会が増えているようだ。

今年の主役は『レモン』


 これまでも無糖炭酸水の売り上げは拡大を続けており、2015年の3000万ケース規模から2019年には5000万ケース規模へと1.6倍に成長している。(サントリー調べ)。

 特に2年前の2018年には一度大きなブームとなり市場が急拡大した。この年は、無糖炭酸水のトップブランドであるアサヒ飲料の「ウィルキンソン」に加え、飲料メーカー大手のコカ・コーラ社が「ザ・タンサン」を新発売、サントリーが「天然水スパークリング」をフルリニューアルし、それぞれ話題となった。2018年の「天然水スパークリング」の販売実績は対前年比2倍となっており、また「ウィルキンソン」も1割以上数字を伸ばしている。共通していたキーワードは『強炭酸』・『強刺激』で、無糖と強炭酸という価値が明確になり、多くの人に受け入れられ、それまでお酒の割材というイメージが強かった無糖炭酸水が、この年に“直飲み”利用が定着し一大市場となった。

 2019年は微増にとどまったが、今年改めて無糖炭酸水が存在感を増している。

 どんな場面でも飲まれる傾向にあり、新たな利用者も増えているという。「無糖炭酸水はもともとマルチユースだと捉えているが、朝や昼間の仕事中、家事をしながら、そして夕食時の直接飲用やお酒の割材としてなど、本当に幅広いシーンで飲用が増えている。お茶や水で物足りないと感じた人が“直飲み”利用として新しく飲み始めたり、外出自粛の影響により家の中でお酒を飲むようになった人が“割材”利用として新たに手に取ってみたりと、新規の利用者も増えている。もやもやとした閉塞感に包まれているなかで、リフレッシュしたい、スカッとしたい気持ちと無糖炭酸水の価値が合致し改めて評価されていると考えられる。また、プレーンタイプ・レモンタイプどちらも新たに手に取ってくださる方が増加しているが、特にレモンのほうが3月のリニューアル以降、リニューアル前の1.6倍の水準となっており顕著に伸びている」(サントリー)

 6月にはキリンビバレッジ「キリンレモン」、ポッカサッポロ「キレートレモン」といったロングセラーの有糖の炭酸飲料ブランドからそれぞれ無糖炭酸水が新たに発売され、話題となっている。「キリンレモン スパークリング 無糖」は、「キリンレモン」ブランド初の無糖炭酸水で瀬戸内レモンエキスを使用しているのが特長で、「キレートレモン無糖スパークリング」は、レモン1個分の果汁入りでドライな味わいが特長だという。

 昨今のレモンブームもあってか、「無糖・強炭酸」×「レモンの酸味・香り」が既存の利用者・新規利用者どちらからも支持され、コロナの影響により清涼飲料市場全体は今年、大きく前年を割っているといわれているなか、レモン系無糖炭酸水のカテゴリーは対前年1割増となっている(サントリー調べ)。

 無糖炭酸水は、これまで無糖という健康感と強炭酸というリフレッシュメントの価値により多くの人を魅了してきたが、もやもやとした気持ちがまん延している今年は例年以上にその爽快感が求められているよう。今年の夏はレモン系無糖炭酸水が、主役になりそうだ。