ナイツが語るコロナ禍での漫才
なぜナイツにいじられても嫌な気分にならないのか…?
ナイツの時事ネタは結構きついことを言っていてもいじられた人のファンが嫌な気分にはならないような不思議な雰囲気を醸し出す。いじられた本人もさほど傷ついていないようにも思う。ネタを作るうえで気を付けていること、やるうえで気を付けていることは?
塙「それは見せ方の問題で、ツッコミで言いたいことを太くするようにしているから。もしボケの僕が9割くらい主張すると、見ている人の印象は“ひどいな”というものになると思うんです。だけど、ひどいことを言っているのは実はツッコミのほうで、僕はツッコミに言わせるだけ。わざと抑えてやっています。例えば“槇原敬之さんですよね?”とか言ったら“そいつは捕まった奴だよ”みたいなことをツッコむときに、僕がそれを言っちゃうと、多分“そういうことを言うなよ!”みたいになっちゃう。そうなると、より毒が強くなるじゃないですか。そうじゃないからあまり嫌な気分にならないのかもしれないですよね」
それは肌感覚でつかんだもの?
塙「肌感覚でもつかんできたし、20年くらいやってきて、漫才ではそれが一番受けるんです。ミルクボーイでいえば、駒場君がもっと本当はボケたいんでしょうけど、2割くらいにしておいて、8割はツッコミの内海君が笑いを取るようになっているじゃないですか。芸人はみんな自分が面白い人に思われたいから、みんなボケが主張しすぎちゃうんです。でもやっぱり2人で1つなんだということを考えると、意外にツッコミが大事。ミルクボーイもコーンフレークのことをあれだけディスっても、全くディスってない。あれはツッコんでいるから。あれがもしボケの駒場君が言っていたらコーンフレークの人は怒っちゃうかもしれない」
土屋「毒の強さについては、うちらは塙さんが毒を主張するという感じはしないですからね。それがいいんでしょうけど。それに今は世間の人たちが一番毒を持っていて、その人たちが噴き出す毒が一番攻撃力があるような感じがするので、同じような角度で毒を出すというよりは、そういう人たちが持っている毒を利用して笑わせるというか、そういうほうが今の時代にはいいのかもしれないですね、時事ネタを扱う毒の使い方としては」