木村英智氏に聞く、世界をめぐるアートアクアリウムが日本橋に常設化した理由
広報大使を務める上戸彩は「来るたびに心まで綺麗になるような、美しい夢の世界」とPR
水族館でも、美術館でもなく、アートアクアリウムなんだ
そう考えていた木村が常設という新しい可能性に踏み出すことになったきっかけはというと、2016年に遡る。この年、アートアクアリウムは、その前身となる「スカイアクアリウム」を含めて、10周年を迎えた。
「10周年祭と銘打って、東京、大阪、金沢と全国3都市で少しずつ会期を重ね合せながらアートアクアリウムを開催しました。そうしたら10周年にして、それまでで一番多い来場者数の記録が出た。東京は80日間で72万人、大阪は46万、金沢は21万人です。2013年から4年連続で100万を超えました。その時、ある人から言われたんですよ。気づいていないかもしれないけど僕にはもう責任が生まれているよ、100万人来場って日本の100人に1人が来ていることで望むとも望まざるとも責任が生じるよって。また、これは別の方に言われたことなんですけど、10年って短いようで長くて同じことをやり続けて10年続いたってことは文化としての入口に入ったところだ、と。その時の僕はちょっと、うーんと思ったんですよね。ただそれから、言われたことがわかることが出てきて。例えば、夏になってツイッターを見ていると、“夏休みが来たから、友達と遊園地とか水族館とか美術館とかアートアクアリウムに行きたい!”って書いてある。水族館でもなく、美術館でもなく、アートアクアリウムなんだ、アートアクアリウムってもうひとつのカテゴリとして認識されているんだって。そのころからかもしれませんね、常設という言葉が浮かび始めたのは」
常設化は海外でと考えていたそうだが日本橋になった。ずっと展覧会を開いてきた日本橋はアートアクアリウムの本拠地であるとともに、木村が仕事場や住まいを構える場所。何よりも木村が好きな街だ。
「海外でも、日本でもいろいろオファーはいただきました。ただ僕は、歴史的な都市で、文化的なにおいも残る日本橋という街が気に入っているし、なによりも自分のなわばりです。そこで東京オリンピックに合わせてやろうなんて話だったので、自分の中でも超法規的なことにならざるをえなかった(笑)」。