小池都知事に聞く「東京大改革2.0で選ばれる東京にしていきたい」
規模の大きな東京は陽性者数も多い。
医療機関、大学病院という宝物も多い。
——開催にあたり、新型コロナウイルスの感染拡大も問題です。
新型コロナウイルスは、地域によって感染拡大の状況にバラつきがあったり、ぶり返したりと、世界各国が暗中模索を続けています。東京においても、都民の皆様にはステイホーム、事業者の皆様には感染拡大防止に多大な協力をしていただきました。今後の事を考えますと、インフルエンザが流行する季節を想定し、最悪の事態も考えながら医療体制を整えてまいります。東京版CDC(疾病対策予防センター)を作る準備を進めています。
——感染症対策を一体的に担う常設の「司令塔機能」となる東京版CDCですが、進捗について教えてください。
本格的な稼働は2021年の4月になりますが、8月1日付けで準備組織を設置、先行的な取り組みを進め、秋冬のインフルエンザの流行期を視野に10月に立ち上げの予定です。かなりスピード感を持ってやっています。感染症対策は基本的には危機管理です。訓練をしてこういう場合にはこうするという即応体制を組んでおく必要があります。平時と有事の両方の状況を念頭に置きながら、東京版CDCを進めてまいります。東京は規模が大きく、新型コロナウイルスの陽性者の数も一桁違います。医療機関や大学病院の数も多い。東京の持つ特長や宝物のような資源を有効に使い、平時と有事、2つのシチュエーションを念頭に情報を共有するシステムの構築をします。このシステムを国と連携することでより有効活用されるよう進めていきます。
——これからの新型コロナウイルスの対策についてはどのようにお考えですか?
まずは、PCR検査ですが、現在は最大検査可能件数が約8600件で、最近では毎日5000~6000件の検査件数が出ています。これを1万件まで伸ばしていく段取りをつけます。医療体制については重症用150、中等症用の2450と合せて2600のベッド数を確保していて、これを2800床にすべく医療関係の皆様にご協力いただいています。また、先日、東海大学から代々木にある付属病院を丸ごと専用病院に使ってくださいと申し出がありました。加えて、多摩にある旧都立府中療育センター施設を専用病院に改修します。インフルエンザの流行期に新型コロナが猛威を奮った場合の準備もしています。
新型コロナウイルスは、人と人との接触によって感染が拡大します。基本に戻るわけですが、マスクをつける、手洗いをする、食事や仕事の場でアクリル板を活用するとか、基本に気を付けていただきたい。いつも私は「心技体」の重要性を申し上げています。心は意識や心構え、コンセプト。技は技術で、医療ならワクチンやECMO(エクモ)です。体は体制やシステムのことで、例えば休業や営業時間の短縮などで感染防止に協力してくれたお店や事業者に協力金をお支払いすることなどが体にあたります。これら三要素が揃うことで対策が進んでいきます。マスク、手洗い、アクリル板といった基本的なことをふまえ、「心」の部分。みんなで意識を変えていきましょう、体制を整えていきましょうということです。事業者のみなさんには対策をきちっとしていることを示すステッカーを掲示していただいています。それもまた「心」の部分です。すでに二十数万枚も掲示していただきました。街を見てますと、お花屋さんや不動産屋さん、クリーニング屋さんなど接客する店舗にも掲げていただいて。100万枚を目指していこうと思っています。
——さて、創業支援もまた力を入れてきた分野ですが、今後は?
ユニコーン企業を生み出す街、そういう東京にしたいですね。街の活力は新しい企業が生まれるか否かにかかっている部分があります。新型コロナは、ある面でビジネスの好機でもあります。非接触ビジネス、キャッシュレスはその最たる例ですし、通販、Eコマース、飲食店のテイクアウト、それに伴うテイクアウトの器やプレゼンテーションひとつでニュービジネスが生まれます。また新型コロナによって明確になった日本がIoTの分野において世界と比べて周回遅れになっている事実も、発展の余地はあると考え、ニュービジネスのチャンスとなります。そういう意味で、withコロナの時代におけるスタートアップの支援を進めたいと考えています。支援の方法も、大企業で培われたノウハウやアイデアをもった人材を発掘し、新しい事業の創出に向けた支援、独立に結びつける取り組みの展開などさまざまです。この変わり目にどういう行動をとり、発想をするのかを都として後押しをしていきたい。技術開発に必要な実証実験の支援や、グローバルな展開に向けた海外の商談や資金調達などのサポート、女性起業家のサポート、多額の資金調達、海外現地法人の設立などもお手伝いしてまいります。
(聞き手・一木広治)