グカ・ハン『砂漠が街に入りこんだ日』の魅力を語り尽くす
写真左から編集者・ライターの小林英治、訳者の原正人、翻訳家の斎藤真理子
収録の8作品中7作品の一人称が〈私〉で統一され、固有名詞はほぼ登場しない。斎藤は「それでもここまで書けるのがすごい。いつの時代でもいいような不思議な味わいがある」、原は「フランスにはレーモン・クノーのような(実験的な)作家もいる。自分で枷をはめるようなことをしているのかも」と指摘。韓国語の一人称は〈私〉しかなく、男女の境界が曖昧なため邦訳に特有の難しさもあるという。言語によるジェンダー観の違いを斎藤は「〈彼女〉という言葉を一切使わないで書くなど、韓国の女性作家はジェンダーの揺さぶりにものすごく果敢。日本語はジェンダーに関しては不自由ですね」と述べた。
改めて作家の魅力を問われると、原は「『雪』という作品で、かつての友人が訪ねてきて主人公の背中をポンと叩くシーンがある。乾いた物語の中にある種の温もりを置くところに感動した」、斎藤は「文体があまりに端正で見通しが良いところに驚いた。その中から時々不意打ちのように現れる混じり気のない切実さは、滅多にない読書体験」と最大級の賛辞を贈り締めくくった。
改めて作家の魅力を問われると、原は「『雪』という作品で、かつての友人が訪ねてきて主人公の背中をポンと叩くシーンがある。乾いた物語の中にある種の温もりを置くところに感動した」、斎藤は「文体があまりに端正で見通しが良いところに驚いた。その中から時々不意打ちのように現れる混じり気のない切実さは、滅多にない読書体験」と最大級の賛辞を贈り締めくくった。