エンタメ業界における“ニューノーマル”とは? BEYONDコロナに向けた次世代エンターテインメント
一木「ニューノーマル時代における成功例や兆しはありそうでしょうか」
高木「仮想空間はひとつキーワードだと思っています。任天堂の『あつまれどうぶつの森』がコロナ禍で世界的にヒットしました。今やその中でリアルでできない結婚式をしたりだとか、アメリカの大統領選挙に使うとか、香港のデモをやるとか。リアルにマスギャザリングできないからこそ始まったものでありますが、今後コロナ禍で仮想空間ってますます伸びていくと思うんですね。その仮想空間を使ってLIVEを行うという事例もありまして、アメリカのトラヴィス・スコットというラッパーのLIVEなのですが、すごく良くできていて。LIVE自体のオンライン配信はあくまで二人称視点で見るものですが、仮想空間は一人称で入ることができる。自分のアバターがゲームの世界にいて、リアルに参加しているような気持ちになれるのが大きな違いですね。例えば演出がリアルだとできないもの、海に潜るとか、ラッパーと一緒に宇宙に行くなんてこともできます。そういう方向もあるのかなと思っています」
山中「ここから先はリアルとデジタルの掛け合わせだと思います。リアルはリアルで絶対残りますし、デジタルはここまで普及しているので、プロモーションやマネタイズなどさまざまな側面としても残っていくと思います。リアルなものをデジタルで配信するときは、AR(仮想現実)の演出が加わっていたりとか、その場にいた方ももう一回見たくなるような仕掛けづくりでマネタイズしていくこともできると思います。オンラインLIVEの多くは、今は生配信する・アーカイブを作る・投げ銭をするというところまでですが、ここからさらに一歩進めていくプラットフォーマーや技術が登場し、さらに多くのお客様が楽しんで頂けるものになり、日本のエンターテインメントが簡単に国境を越えられる時代になると感じています」
一木「最後に2021年のテーマを教えて下さい」
山中「僕はコロナがきっかけで自分の世界が広がったような気がします。これは他の人も同様で、2020年苦しい思いをしてあがいたからこそ、色々なきっかけや気づきや出会いがあったと思う。2021年はその気づきや出会いを使って、種として温めていたものを芽にするとき。ここからは自分たちの既存の業務範囲だけで見てはいけない、シームレスな時代がやってくると思います。積極的に自分の領域や専門以外の知識をつけて、種から芽になる年になるといいなと思っています」
高木「今は強制されたニューノーマルだと思うんですね。LIVEに行きたくてもいけない、飲み屋に行きたいけど行けないなど。ただこれが感染症と共存しないといけないという前提に立つと、ニューノーマルが強制されたものではなくて、その中で快適に過ごせて、新しい産業構造を作っていくというのを、2021年にある程度できていなければいけないと思います。そのために今年色々と試行錯誤したり、苦労するかが将来のためになるのではと思いますね」
(TOKYO HEADLINE・丸山裕理)