新型コロナ「再流行の兆し」に要警戒 データを踏まえ都医師会が会見
東京都が新型コロナウイルスの新規感染者数を新たに293人と発表した10日、公益社団法人東京都医師会が今後の新型コロナ対策について記者会見を開いた。
都ホームページのデータを手に説明する猪口正孝副会長
このまま続くと4週間後には1日あたり600人
冒頭で尾﨑治夫会長は、再流行の兆しの中で重要なこととして「都では発熱患者の診療・検査を行う『診療・検査医療機関』がスタートしたが、電話連絡をせずに来院して『実は熱が出ている』といったケースが起こっている。空間的・時間的に動線を分けた意味がなくなってしまうので、電話をしてから受診することを徹底してほしい。また、厚生労働省のホームページに『感染リスクが高まる「5つの場面」』が発表されている。そういった場面に気をつけるべく、ぜひチェックしてほしい。
新規感染者といっても軽症者と無症状が大部分ではないかとの声もあるが、入院・宿泊療養・自宅療養が増えると行政や保健所、医療従事者は大変な思いをする。最近の報告で、若い人でも10〜20%は後遺症が残るとの話も出ている。重症化して亡くなるという意味で高齢者にとって怖い病気というのは変わらず、家族に高齢者がいる人や業務上高齢者と関わる人は特に気をつけてもらいたい」と警鐘を鳴らした。
続いて、猪口正孝副会長が「293人というのは、1週間の増加比でいうと1.29倍。1.2倍という数字は、2週間続くと1.4倍、さらに2週間続くと2倍になる。このまま続くと4週間後には1日あたり600人になる数字だということをご理解いただきたい」と説明。東京都ホームページでは、専門家と行うモニタリング項目の分析や総括コメントを毎週木曜に発表しているといい、「そこに感染状況や医療提供体制、専門家のコメントなどが詳しく出ている。ぜひ都民の皆さんは東京都のホームページからモニタリングのページを見てほしい」と訴えた。たとえば接触歴不明者(孤発例)の数や増加を見ることによって、市中感染の広がりがある程度把握できるという。
「検査陽性者の療養状況を見てもらうと、入院患者数は1000人前後から減っていない。ここから2倍、3倍に新規陽性者数が増えると東京の医療はかなり混乱する。また、重症患者数を見てもらうと、40〜50代の人でも重症化して人工呼吸器を装着し、命が危ぶまれる状況に陥っている。重症患者数が増えてないわけではなく、1週間に10〜15人程度が人工呼吸器を装着し、半数は離脱できて半数は残念ながら亡くなっている」と言及。「ぜひデータをしっかり見て、現状を分かったうえで対策を取ってもらいたい。3密を避けてマスクをつけて手洗いをするのは大原則ですが、さらに知識を身につけてWithコロナの生活様式を行なってもらいたい」と訴えた。