テレワークで腰痛持ち、肩痛が増加! “外科手術以上”の異名を誇る理学療法士がセルフケアを伝授



「次に、伸ばした腕を外旋(外側に回す)してください。そして、肘を曲げながら背面に腕を下ろしていく。その際、ゆっくりと筋肉の張りを感じたまま下げていくことがポイントです。息を吐きながらなど呼吸に意識を向けるのではなく、あくまで筋肉の張りに意識を向けてください」(沖倉先生)

この運動を行うだけで、広背筋と大胸筋が緩み、肋骨の可動域が広がるそう。結果、腕が上がりやすくなり、肩こりも解消されやすくなるのだとか。また、肋骨が柔らかくなるので、呼吸がしやすくなり、肺活量も向上。腕や肩、背中の痛みから解放されるという。

それにしても、「なぜ広背筋と大胸筋、この二つの筋肉が?」と思う方もいるはず。肩こりなんだから肩を回す、腰が痛いのだから腰のストレッチをする――そう考えても不思議ではない。ところが、沖倉先生のアプローチは異なる。

「肩や腰などの痛みは、体の内側で癒着が起きているからです。例えば、先ほどエクササイズをした広背筋と大胸筋が肋骨と癒着して動かなくなると、肩甲骨をこれらの筋が外側に引いて固定されてしまいます。更に背骨も伸びなくなり、結果として、猫背の状態になっていく。この状態で、腕を上げたり、動かしたりすると、何回も肩甲骨と上腕骨(腕の骨)がぶつかることになります。これが積み重なっていくことで炎症が起こっていきます。炎症が起こることで、それが癒着の原因になってきます」(沖倉先生)

つまり、肩の痛みは、肩だけに着目しても効果は限定的というわけ。炎症するケースは、交通事故など激突のダメージで突如発症するケースもある。だが、慢性的に痛みを感じるケースは、体の中で骨や筋がぶつかり続けることでさらに悪化していく。そのため、先ほどのセルフエクササイズなどが有効的というわけだ。