テレワークで腰痛持ち、肩痛が増加! “外科手術以上”の異名を誇る理学療法士がセルフケアを伝授



「筋膜と聞くと、筋肉を包む膜と思う方も多いと思います。たとえるなら、みかんを包んでいるネットのようなイメージ。ですが、みかんのネットをズルズルとずらしても、みかんの内部にまでは届きませんよね? あくまで表層部だけが動いているだけです。筋膜は6層から連なっていて、従来の方法では第1層や第2層をほぐしているにすぎません。安い肉を噛みちぎって引っ張ろうとすると、筋が伸びますよね。それを包んでいる一本の膜が筋膜で、深層の筋膜というイメージです。筋膜は骨膜と合わせ、大雑把に分けて6層あります。6層すべてが解放されないと、痛みは残るし、可動域も広がらない」(沖倉先生)

最深部の硬結を取ることができれば、表面まですべて解放される――。それをほぐすために他の部位からほぐしていき、要所を施術するという。座学だと難しく感じるが、実際に体験すると、体の構造はパズルのようなものだと理解する。

もともと沖倉先生は、HEATH整体院を開業する以前は、病院で理学療法士としてリハビリを担当していた。石灰化した重度の肩痛、杖や歩行器が手放せない重度の膝痛、車いすが必要なほど腰痛に苦しむ人、そういった患者さんと向き合う中で独学で「六層連動操法」を開発した背景を持つ。その効果を体感した人が続出し、今では“外科手術以上”の異名を誇る。

「病院勤務を15年間していたのですが、役職になるにつれてどんどんどんどん担当できる患者さんの数が減っていくんですね。20人が10人になり、5人になり、最後は2~3人になってしまう(苦笑)。であれば、独立して施術家として、整骨院やクリニックを経営されている方に、「六層連動操法」を広めた方が意義があるのではないかと思ったんです。自分で経営しなければいけないとなると、患者さんに対して良い施術をしなければいけませんから。 さまざまな痛みを持つ患者さんを1人でも多く救うために、たくさんの治療家を育てていきたいですね」(沖倉先生)

その言葉通り、現在沖倉先生は「六層連動操法」を広めるべく、全国でセミナーを展開。受講者の数も増え続けているという。テレワークが加速度的に普及しつつある昨今、肩こりや腰痛に悩む人は増え続けることが予想される。だが、「六層連動操法」のような新しい施術に注目が集まっていることも、ウィズコロナの副産物と言えるかもしれない。


(取材と文・我妻弘崇)
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