新型コロナ感染激増で都医師会「1日1000人になると東京の医療もたない」

 東京都で新型コロナウイルスの新規感染者数が2日連続で500人を超えた。公益社団法人東京都医師会は20日、感染者の激増を受けて緊急記者会見を開いた。

 尾﨑治夫会長は「今日は65歳以上の感染者数が約80人、1週間の増加比は1.33倍となっている。もしこのまま有効な抑制政策ができないと、4週間後には1020人になるという試算もある。毎日500人台が続くということは、医療体制がかなりひっ迫する危険な状態だと思っているが、もしも1日1000人という数になると東京の医療はもたないと考えている」と強い危機感を示した。
緊急記者会見に臨む東京都医師会の尾﨑治夫会長
「都民の皆さんには改めて感染予防の徹底をお願いしたい。現在、家庭内や職場での感染が多くなっており、そうした場所にウイルスが持ち込まれるのは会食からではないかといわれている。家族に高齢者がいる場合や職場などで高齢者と接する人は、ぜひ気をつけてもらいたい」

 さらに「明日から3連休になるが①身近な人以外とはなるべく会わない。②5人以上の会食をしない。③人と話す時は必ずマスクをする。④絶対に3密を避ける。⑤どんな場面でも手洗いをする。目・鼻・口からウイルスが入らなければ、感染は成り立ちませんのでマスクをつけ、顔を触る際には手洗いやアルコール消毒を徹底していただきたい」と、個々人の感染対策の徹底を訴えた。

 高齢者の多くは心臓や肺に持病を持っており、寒さや乾燥が厳しくなると心不全や呼吸不全などを起こしやすい。コロナ禍での受診控えや運動不足で、生活習慣病のコントロール状態が悪化すると、寒い時期に心筋梗塞や脳卒中などが増加する可能性もあるという。尾﨑会長は「近年、冬場に心不全を起こす人が多発して医療現場は苦労している。普段、病気を診てくれる救急病院が、もしも新型コロナの患者で埋まってしまったら、こうした病気の患者の行き場がなくなる。この冬、なるべく皆さんに注意していただいて、新型コロナの感染者をできるだけ減らしていくことが大事」と強調した。

 京都大学の西浦博教授によると、新型コロナで2次感染が起こる決定要因は「人口密度」「気温の低下」「人の移動」「コンプライアンス(個人が守るべきこと)」だというが、尾﨑会長は「しかしながら、これだけで爆発的な感染が抑えられるのか」と疑問を呈した。

「10月1日から東京都がGo To キャンペーンに追加されたが、その2週間後から新規感染者数が全国的に増えているような気がする」と言及。はっきりした根拠はないとしながらも「(感染者数の増加は)人の移動が活発になったことが影響しているだろう」といい、Go To トラベルに対し①感染が多い地域に限定して一時中断。②マイクロツーリズムとして近場に限定。③遠方に旅行する際はPCR検査や抗原検査を行う。パッケージに組み込んではどうか、と踏み込んだ意見を述べた。

 また、年末年始の会食には「静かな会食やマスクを着脱しながらの飲食は難しい」として「飲みに行くなら10日に一度。気が合ってルールを守れる仲間と10日に一度なら、月に3回は飲みに行ける。あとは12月、1月は家飲みしましょう」と注文をつけた。
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