堀潤「中国に対し日本は自由主義国家として“人権の保障”は譲ってはならない」

気になるあの人の2020年重大ニュース


12人の識者が激動の2020年を振り返る
 2020年が終わろうとしている。今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響による緊急事態宣言などで「時間が止まった」こともあり、あっという間の1年だったと思う人も多いのでは? 本来だったら今年は夏に東京オリンピック・パラリンピックが開催され、今頃は「beyond2020」を旗印に2020年以降の日本のあり方が議論されていたころだろう。ところが現在は新型コロナウイルスの猛威のせいで日本どころか世界中が「withコロナ」の新しい時代を模索している。後世、語り継がれることになるであろう2020年の重大ニュースを各界の著名人の方々に挙げてもらった。
堀潤
新型コロナウィルス
 感染抑止か経済活動かというジレンマを突きつけられた2020年。共に大切なのは自明な筈なのに、感染経路や行動の把握など、対策に必要なデータの収集に課題が残った。接触確認アプリ「COCOA」の普及は6割という目標に届かず苦戦。韓国や台湾などのように、個人の行動記録を行政側がどこまで利用できるようにするか、国民的な議論が必要で来年への宿題となった。

香港国家安全維持法
 中国共産党が直接、香港の治安維持に影響を与えることができる香港国家安全維持法が施行された。一国二制度が完全に崩壊。逮捕された12人の民主活動家達の行方が分からなくなり家族が会見を行うなど混迷を極めている。安全保障でも経済でも日本にとって密接な関係のある中国に対し、日本政府は自由主義国家として「人権の保障」は譲ってはならないラインだと私は主張したい。

国連WFPがノーベル平和賞
 世界経済の成長とともに改善の兆しがあった世界の飢餓人口がここ数年で増加に転じている。理由は気候変動と紛争だ。今年のノーベル平和賞は、国連機関の一つWFPが受賞。コロナ禍でさらに飢餓人口が増えているという報告もあり大切なメッセージだ。私も今年、紛争が続くスーダン取材の際にWFPが運航する航空機に乗って移動した。人道支援にもっと注目が集まるべきだ。
ジャーナリスト、NPO法人「8bitNews」代表。平日朝7時からの放送のTOKYOMX「モーニングCROSS」MCを務めて7年目。Getty Imagesや東洋経済オンライン、ForbsJapanなど様々なメディアと協力をしながら国内外の現場を幅広くカバーし、専門家達による解説をコンパクトに1時間に詰め込んだテンポの良い視聴者参加型のニュース番組として好評を得ている。