野本ダイトリ「女の子が食べられなくなるという状況がこの業界で初めて起こった」【2020年重大ニュース】
気になるあの人の2020年重大ニュース
12人の識者が激動の2020年を振り返る
2020年が終わろうとしている。今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響による緊急事態宣言などで「時間が止まった」こともあり、あっという間の1年だったと思う人も多いのでは? 本来だったら今年は夏に東京オリンピック・パラリンピックが開催され、今頃は「beyond2020」を旗印に2020年以降の日本のあり方が議論されていたころだろう。ところが現在は新型コロナウイルスの猛威のせいで日本どころか世界中が「withコロナ」の新しい時代を模索している。後世、語り継がれることになるであろう2020年の重大ニュースを各界の著名人の方々に挙げてもらった。
野本ダイトリ
新型コロナウイルスで緊急事態宣言が出た時に撮影を2~3カ月止めたんですが、その時に“女の子たちが食べられなくなる(収入がなくなる)”という状況がこの業界で初めて起こりました。ある程度は支援をしましたけど、撮影をしてあげないとどうしようもないということで、女の子が自宅で自分で撮れるAVの企画を考えて、自宅に段ボールで機材などを届けたりしました。とにかく女の子たちにお金を払える環境を作らなければということで試行錯誤しながら作品を作り続けた2カ月間は結構大変でした。
その後、歌舞伎町でクラスターが出てしまい、また女の子たちの仕事がなくなってしまいそうになった。そこで僕たちには何ができるか考えた時に、コロナ対策を万全にしたうえで、叩かれてもいいからこの時期に新宿に店を出そうということでビル一棟を飲食店にした『SOD LAND』というお店をオープンしました。コロナによって撮影が止まってからSOD LANDができるまでの一連の動きが僕の中では今年一番の出来事でした。
撮影再開にあたってはどういう基準を作るべきなのか、という問題もありました。ロケ現場でどこまで対策すればよいのかということですね。なかなか業界全体で足並みがそろえにくいということもありました。
この業界には200社以上のメーカーがあり、プロダクションも100社以上もあり、それぞれ考えも違います。やはり女の子の収入がないというのは、たとえコロナが明けたとしても業界として大変なことになるので、ある程度は続けていかないといけないと考えました。その上でどの辺を基準にすればいいのか? 僕らはロケを再開してもいいのか? といった判断を下すときに一番悩みました。
以前から、うち(=SOD)が先駆けて性病検査の項目を増やそうとか、検査期間をちゃんと決めようとか、女の子にリスクがないように先頭を切ってやっていたところもありましたし、一番ニュースにされやすいので模範にならないといけないというところもあったんですが、逆にいうとうちがやりすぎると、そこまでできない小さいメーカーも出てきてしまいます。検査するといっても検査にかかる費用も当時は決して安くなかったですし、熱が出た人に帰ってもらうとなったらその費用は誰が負担するのか。そういったところで折り合いをつけるのが非常に大変でした。
陽性者はいなくとも、濃厚接触者にあたる人がいた現場は、現場にいたスタッフ全員にPCR検査を受けさせて、2週間はそのロケ隊は隔離するとか、そういうことを繰り返して前に進んでいました。費用も手間も掛かりますが、率先してやっていくしかなかったですね。実際にコロナではないんですが監督が熱を出してしまって、代役の監督を立てたこともありました。女の子が熱を出した時には仕方がないので撮影をばらして検査を受けてもらって後日に撮影をしたりということも。今は会社の経営上は予算の中に“バラし代”というものを計算に入れてやっています。
コロナの影響で出演者もスタッフも減らしています。大人数の現場がなくなって、しばらくは男優と女優が1対1の作品が増えました。大人数での企画ものが撮れない分、各社、同じような作風のものになっており。これはあまりいい方向ではない。AVが今まで以上に金太郎飴的になってしまっているなということは最近感じています。そんな中でも、うちの作品は手間を惜しまず、ご時世のニュースを盛り込んだりさまざまな工夫を凝らして個性的な作品を作ってくれているように思います。あとはVRでいうと、自分の家で女の子と2人きりという作品が増えました。
その後、歌舞伎町でクラスターが出てしまい、また女の子たちの仕事がなくなってしまいそうになった。そこで僕たちには何ができるか考えた時に、コロナ対策を万全にしたうえで、叩かれてもいいからこの時期に新宿に店を出そうということでビル一棟を飲食店にした『SOD LAND』というお店をオープンしました。コロナによって撮影が止まってからSOD LANDができるまでの一連の動きが僕の中では今年一番の出来事でした。
撮影再開にあたってはどういう基準を作るべきなのか、という問題もありました。ロケ現場でどこまで対策すればよいのかということですね。なかなか業界全体で足並みがそろえにくいということもありました。
この業界には200社以上のメーカーがあり、プロダクションも100社以上もあり、それぞれ考えも違います。やはり女の子の収入がないというのは、たとえコロナが明けたとしても業界として大変なことになるので、ある程度は続けていかないといけないと考えました。その上でどの辺を基準にすればいいのか? 僕らはロケを再開してもいいのか? といった判断を下すときに一番悩みました。
以前から、うち(=SOD)が先駆けて性病検査の項目を増やそうとか、検査期間をちゃんと決めようとか、女の子にリスクがないように先頭を切ってやっていたところもありましたし、一番ニュースにされやすいので模範にならないといけないというところもあったんですが、逆にいうとうちがやりすぎると、そこまでできない小さいメーカーも出てきてしまいます。検査するといっても検査にかかる費用も当時は決して安くなかったですし、熱が出た人に帰ってもらうとなったらその費用は誰が負担するのか。そういったところで折り合いをつけるのが非常に大変でした。
陽性者はいなくとも、濃厚接触者にあたる人がいた現場は、現場にいたスタッフ全員にPCR検査を受けさせて、2週間はそのロケ隊は隔離するとか、そういうことを繰り返して前に進んでいました。費用も手間も掛かりますが、率先してやっていくしかなかったですね。実際にコロナではないんですが監督が熱を出してしまって、代役の監督を立てたこともありました。女の子が熱を出した時には仕方がないので撮影をばらして検査を受けてもらって後日に撮影をしたりということも。今は会社の経営上は予算の中に“バラし代”というものを計算に入れてやっています。
コロナの影響で出演者もスタッフも減らしています。大人数の現場がなくなって、しばらくは男優と女優が1対1の作品が増えました。大人数での企画ものが撮れない分、各社、同じような作風のものになっており。これはあまりいい方向ではない。AVが今まで以上に金太郎飴的になってしまっているなということは最近感じています。そんな中でも、うちの作品は手間を惜しまず、ご時世のニュースを盛り込んだりさまざまな工夫を凝らして個性的な作品を作ってくれているように思います。あとはVRでいうと、自分の家で女の子と2人きりという作品が増えました。