東京2020開閉会式の野村萬斎氏統括の演出チームを解散。佐々木宏氏が新たに総合統括に就任
今後はアドバイザーとしてかかわることとなる野村萬斎氏(Photo by Tokyo 2020)
野村氏は「具体を押し付けると佐々木さんの枷になる」と理念上のアドバイスを示唆
野村氏は「復興五輪を意識したシンプルかつ和の精神に富んだ、日本人が世界に発信できるアイデンティティーだったり、発信できるメッセージとはなにかということを突き詰めてきたが、こういう状況になった。諸問題がある中で即時に判断しなければいけないことが多いのだと思う。その時に機動力、効率を上げるということが最優先なのではないかと私も同意した。それで佐々木さんが引き受けられるのは私も賛成している。これまでのクリエイティブチームが積み上げてきたもの、日本から世界に発信するというものを佐々木さんも受け取って、発揮してくださると思っている。一人で背負うことは大変なことだと思うが、佐々木さんに一任することが、この局面を乗り切る一つの在り方かと思っている」などと話した。
そして「アドバイザーとしては具体的なことよりも理念的なことをアドバイスを送れたらいいなと思っている。コロナは人類、地球上の問題になっているということを再認識しなければいけない。その中で東京という一点にみんなが集まれるということはそれ自体が奇跡だと思う。コロナ前からだが、我々が直面する問題として、地球の環境問題を含めて、地球という星自体が少しくたびれているのかなと思う中で、我々が生きていることを示す、確認するというのがオリンピックやパラリンピックの精神だと思っている。聖火という一種、太陽の象徴のもとにみんなが集うということが式典のイメージとしてずっとある。それは佐々木さんもお分かりだと思う。そこにこれだけ分断してしまった世界が集まれるということをまず祝していただきたいし、その意味を深めていただきたいし、全員でその問題を甘受しながら、日本人としてどう発信していくのかということが問われるのかなと思っている。ただあまり具体を押し付けると、佐々木さんの枷になるので、そういった意識を見守りながら、佐々木さんお得意のウィットに富んだ、しゃれの利いた大笑いするかもしれないし、ニヤリとできるような、コロナ下での式典になればいいなと思っている」などと佐々木氏に期待した。