もう元の世界には戻れない!? ニューノーマルから起業アイデアを生み出そう「アフターコロナのメガトレンド Keywords」

コロナ禍で始めた「ドライブスルー八百屋」が話題
株式会社フードサプライ 代表取締役・竹川敦史


――外食向けに青果の卸業を営む御社にとってコロナの影響は大きかったのでは。

 弊社の売り上げの9割が外食産業によるものでしたので非常に大きな打撃でした。取扱先5000店舗のうち半数近くが休業状態となり、4月の売り上げは2割弱まで落ち込みました。しかもうちは物流を持っておりその経費もかかる。生産者さんから届く野菜を止めるわけにもいかない。コストはかかるのに売り上げはほぼないという状況でした。ただ、緊急事態宣言が発令される少し前から危機感は抱いていたので、とにかく農家さんから届く野菜をどうにか販売できないかといろいろ考え始めていました。

――そこで、話題を呼んだ「ドライブスルー八百屋」が誕生したのですね。

 最初は普通にネット販売を考えたんです。でもすぐにはお客がつかないだろう、と。そんなときファストフード店で、店内はガラガラなのにドライブスルーは長蛇の列という光景を見て、ドライブスルーで野菜を消費者に直接売ることはできないかと思いました。アイデアを思いついてから3日ほどでサイトを立ち上げ、行動の速さも功を奏したのかメディアなどにも取り上げられ、開始2カ月で6万人の方に来場いただきました。ドライブスルー八百屋の利点は、投資の必要なく急場の対策となったこと、そして一般消費者の反応を直接得ることができたことです。これまでずっと、うちはto Bの事業だというスタンスでいたのですが、消費者から直接、声を頂いたことで改めてうちで扱う商品の質に自信が持てましたし、何よりDX化された新しい時代の中でto Bかto Cか、という区切りにとらわれる必要はないのではと考えるようになりました。

――to C向けのサブスクサービス「青果日和」も新たにスタート。

 もともと2カ月ほどで終了するつもりだったのが好評で続けてきたドライブスルー八百屋ですが、ウィズコロナで経済を回すようになり、その役割はひとまず終えたかなと思っています。その中で得たフィードバックを生かし新たに始めたのがサブスクサービス『青果日和』です。野菜のECサービスは他にもいろいろありますが企画力や訴求力は高くても、実はバックオフィスが弱い会社が多い。その点to B向けにやってきた我々は、自社倉庫数も多く、当然、物流のバックオフィスも強い。青果業界最大手であるデリカフーズさんとの提携で日本一のバックオフィスを持つ野菜のECサービスとなります。to Cの事業も日本一を目指していきたいと思っています。

――アフターコロナを見据えているのですね。

 今後は、多くの人が触ったかもしれない野菜を1つずつ買うより、袋入りの野菜セットを買いたいと考える人も増えると思います。であれば新鮮な野菜をセットにして業者から自宅に直接届くほうが、買い物の労力削減や時短にもなるし、多くの人の手に触れない野菜を食べられる。そこにメリットを感じる方は多いはず。僕らは外食産業の一端を担う企業として、事業を守りたいという思いがあります。これからの時代はいろいろな方法で持てるものを生かしていく必要があると思います。1つのマーケットに依存するのではなく相乗効果も狙いながらto B、to Cのマーケットをバランスよく成長させていきたいと思っています。

竹川敦史(たけかわ あつし)
2009年“野菜のライフラインをつくる企業”フードサプライを設立。今年4月初旬に「ドライブスルー八百屋」を開始し下旬には全国展開。11月、新たにサブスク通販「青果日和」をスタート。株式会社フードサプライ【URL】 https://www.foodsupply.co.jp/ 青果日和【URL】https://seikabiyori.jp/

アフターコロナTOPICS


渋谷でバーチャルフェス盛り上がる
 渋谷のハロウィーンが今年は #StayVirtualを合言葉にバーチャル開催に。5G時代に向けた渋谷5Gエンターテイメントプロジェクトの一環として10月26日から31日まで開催され世界中から約40万人が参加した世界最大級のバーチャルフェスとなった。

5G技術のスタートアップを募集
 プロトスター(中央区)は東京都「5G技術活用型開発等促進事業」採択のアクセラレーションプログラム「TOKYO 5G PROMOTER」第1期の募集をスタート。 第1期アクセラレーションプログラムとして5G技術に関連するサービスなどの開発を行うスタートアップの募集を12月18日(金)まで行う。

東京多摩エリアでMaaSの実証実験
 京王電鉄(多摩市)では東京都が公募した「令和2年度 MaaS社会実装モデル構築に関する実証事業」に採択され今冬より東京多摩エリアにて地域関係者と連携したMaaSの実証実験を行う。本実証実験では高齢化の進展やコロナ禍におけるライフスタイルの変化などが生じている環境において多摩エリアの交通利便性や生活利便性の向上に資する施策とともにエリアの魅力を発信することを目的とする。

加速するデジタル消費と日本の課題とは
 デロイト トーマツ グループ(千代田区)が デロイトのテクノロジー・メディア・テレコムインダストリーの調査による「COVID-19で加速する各国のデジタル消費と日本の課題」と題した分析結果を発表。コロナ禍の外出自粛を受け、日本では高齢層の19%がオンラインでニュースを読むなど、デジタル消費の始まりとみられる行動変化があった。COVID-19以前に環境整備ができていた国・地域では教育・ウェルネスのデジタル化が進んだが、従来から遠隔診療やオンライン教育が普及していない日本では伸び率が著しく低かった。

いま副業を希望する人が重視することは
 物置きのシェアリングサービス「モノオク」を運営するモノオク(渋谷区)では同サービスの副業実施者130名を対象に副業に関する実態調査を実施。コロナ禍での副業に対する関心について73.8%が「副業への関心が高まった」と回答。副業を行う上で重要視していることについては、 回答者の76.2%が「空き時間でできるものを行う」を選択。 「コストをかけずにできることを行う」(53.8%)「自宅でできることを行う」(50.8%)と続いた。

4人に1人が農山村移住の意向あり
 林野庁令和元年度「森林サービス産業」緊急対策事業を受託する森林サービス産業プロモーション共同企業体による「新しい日常における森林活用の意向調査」では、対象の20~50代の男女3200名のうち24.4%が農山村移住の意向ありと回答。移住希望者の希望業種は「農業」が1位(39.7%)。次いで「第3次産業」 (23.8%)、「林業」 は18.6%で「IT情報関連」 「再生エネルギー産業」 が各約17%だった。

ソーシャルレンディング業界は堅調
 ネクストライフ(中央区)が運営するCrowdCrossでは、日本のソーシャルレンディング市場へのコロナ禍の影響を各ソーシャルレンディングサイトの募集規模から測定。それによるとソーシャルレンディングサイト9サイトの2020年1月~9月の募集金額合計は743億円。日本のソーシャルレンディング業界はいったんの落ち込みの後、市場規模は順調に回復。コロナ禍の影響は限定的とみられる。

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