丘山晴己、小野塚勇人、山口乃々華、『INTERVIEW』はミュージカルのラスボス?  韓国発の人気作品を上演

 


ーー今日(インタビュー当日)初めて、3人でしっかり顔を合わせたと伺いました。公演最終日までこのチームで進んでいきますが、それぞれ印象を教えていただけますか?


丘山晴己(以下、丘山):小野ちゃん(小野塚勇人)はやんちゃな感じが出ていいますよね。すごく調子がよくて(笑)。


小野塚勇人(以下、小野塚):晴ちゃん(丘山)は明るいです。ムードメーカーじゃないですけど、すでにチームを引っ張っていただいてるなって感じます。


山口乃々華(以下、山口):晴ちゃんは本当に気さくで、優しくて……素敵なお兄さんだなって思います。小野ちゃんさんは、EXPG STUDIO(LDHの総合エンタテインメントスクール)の生徒だった時には、ずっと年上ですから面倒を見てもらったりしていて、こうやって10年越しで一緒にお仕事ができるのはうれしいです。


丘山:乃々華ちゃんは実はサバサバしてそうだなって思ってます。でも天然かも?  飼われている猫ちゃんにつけた名前がトラっていう……


小野:猫なのに(笑)。それもつけるまで気が付かなくて、自然につけてたって言うんですから! やっぱり?……でもまだわからないですけどね。


丘山:……という3人で創り上げていくんですけど、僕はすごくいいバランスだなと感じています。


小野:僕もそう思っています。これから楽しみです。みんなで楽しくやってきたいなって思ってるんで……。



 


ーー晴ちゃん、小野ちゃん、乃々華ちゃんって呼びあっているの、いいですね。さて、ヘビーなテーマの作品。殺人を犯した少年がいて自分も死のうとしたんだけれども、自分の記憶を改ざんして生き延びて……でも、記憶が戻ったことがきっかけで連続殺人を侵してっていう。オファーが来た時にどんなことを思いましたか?


丘山:チャレンジに埋め尽くされた作品なので、そういった意味で、ワクワクが止まらなくなったというのが最初の印象ですね。「わー、これは大変! だけど、すごいワクワクする!」というバイブスです。稽古をしながら自分で課題を見つけてひとつずつ乗り越えていきたいです。


ーーどんなところがチャレンジだと感じていますか?


丘山:まずは少人数だってこと。ストレートプレイでやるような分厚い作品でありながら、ミュージカルだっていうこと。楽曲も分かりやすいというよりはディテールに富んでいるし、それを3人で歌って回していったり、2人で掛け合ったり。ハードで高度だなと感じるところが多いです。それに、何よりも自分が演じる役ですよね。お客さんに新しい一面を見てもらえたらと思っています。


小野塚:……本当にチャレンジですよね。僕はこの作品が初めてのミュージカルなんです。未知な領域で不安というのもあるし、だからこそ自分の可能性にかけてみようっていう自分もいます。この作品を経験をしたあとの自分がどうなっているかっていうワクワクもあります。


ーー小野塚さんも丘山さんと同じように、演じる役も演じがいがあるというか……。


小野塚:今まで演じてきた役の中で、一番難しい役どころになってくると思っています。解離性同一性障害! 自分がその当人であることですね。人格交代、人が変わる部分の表現の仕方、そこに重みを見せなきゃって思うんですけど、それをミュージカルでっていう。エンターテイメントとしてのバランスというか……、未知数なところがあります。自分の引き出しにあるもの、使えるものはすべてフル活用して、この作品を少しでも良くなるためになればと思っています。


ーー初ミュージカルという意味では、山口さんもですね。ただ、ミュージカルをやりたいと話されていたので、念願といったところでしょうか?


山口:これからミュージカルを本格的にやっていきたいと話していたなかで、いただいたお話です。自分がどれぐらいできるものなのか、何ができて何ができないのかさえも分かっていない状態ではありますが、一生懸命頑張ろうと思っています。何より手に汗握る作品ですから。初めてのミュージカルで、このような作品に参加させていただけて楽しいですし、気が引き締まります。


小野塚:正面からあたって砕けまくって……本番までにいいものが作れていればって思います。


丘山:どの作品にもチャレンジはあります。だから常に学び続けていきたいし、足りない部分は補っていきたいし、成長していきたい。それを個人でもしたいし、チームとしてみんなでできたらと思います。



 


ーー丘山さんは『刀剣乱舞』シリーズをはじめ、『RENT』『キャバレー』といったブロードウェイミュージカルまで、さまざまなミュージカルを経験されています。今のような稽古が始まる前に準備していることはありますか?


丘山:作品によって違うんですが、この作品は、とにかく覚えるものだけ覚えてからだと思っています。台本が完成しているというのもあるんですけど(笑)、お医者さんの役ですし、使ったことがない日本語も多いんですよ。専門用語を自分の言葉として出すには時間がかかります。僕はもともと人の倍やらないとセリフが入らないから。


小野塚:僕はボイストレーニングに通っています。


山口:私も絶賛ボイトレをしています! 


小野塚:この作品にはいろいろなチャレンジがありますが、僕にとって、歌うということもまた大きなチャレンジなんです。自分が聞いてきたポップスであるとか、そういうジャンルではない曲調で、音階も独特。歌い方も全然違うんですよね。そのうえ、言葉を届けなければいけないですから。その辺の歌い方を勉強しなきゃいけないと思って。


丘山:ミュージカルミュージカルしているというか、楽曲もオペラチックなものが多いんだよね。オペラ”チック”っていう部分は、オペラのトレーニングをしなければできない部分でもあるから、僕も自分のなかで曲にマッチする歌い方をしたいなと思っています。無理をするのではなく。自分の持っているものを生かしてやろうってね。音はピアノだけっていうのも。素材ばっかり見られるし、ちょっと怖い。


小野塚:……それが怖い!


丘山:僕も同じだよ! だから無理はせず、だよ。あとは3人で手を取り合ってね。


小野塚:稽古は1カ月しかないのに、お芝居も覚えて、歌もあって。ストレートプレイも稽古の期間は同じぐらいだけど、やることが何倍もある。


山口:だいたい楽曲は覚えましたけど、覚えているだけなので、これから内容を理解してやっていきたいですね。


 


ーーと、初ミュージカル組が少し不安を覚え始めたようなので、ミュージカルのタイトル通りに、先輩の丘山さんにINTERVIEWして聞きたいことを聞いてみるのはいかがでしょうか?


小野塚:……改めてですけど、この作品って、ミュージカルのなかでも難しい作品なんでしょうか?


丘山:韓国の俳優さんのものを見ていて思ったのは、例えば、『レ・ミゼラブル』とか大きなミュージカルがあるじゃないですか。ああいうのをいっぱいやった人たちが、最後にたどり着くところみたいなイメージがあって……


小野塚:僕らはスタートに立ったところにいるのに、もう最終地点なんですか? スタートからラスボス登場ですか!! 途中でチートできる方法があれば知りたい。


丘山:(笑)。でも、そういうのがこの3人でできたなら楽しいじゃない。


ーー山口さんはどうですか? 丘山さんにインタビューしたいこと。


山口:特別な喉のケアをしていますか?


丘山:歯磨き!もそうなんだけど、 僕は喉をすごく壊しやすいのに、無理に声を出しちゃうようなところもあって。ああそうだ、あれがいいよ、鼻うがい!


山口:私もやってみます!


ーーさて、チャレンジづくしの作品ですが、初日はどんどん近づいてきます。あらためて、意気込みをお聞かせください。


小野塚:「小野塚、頑張ります!」って感じです。初めての挑戦というもともありますが、コロナ禍が続く中で舞台を上演させていただける、見に来ていただけるということですから、いいものを届けたいです。ミュージカルの最終地点という話でしたが、ビギナーズラックというのもあるかもしれないしね(笑)。技術どうこうというよりも、自分の感性であるとか、この3人だからできるものを信じて演じたいと思います。


山口:コロナ禍で、違う世界に没頭したり、のめりこんだりする機会が減っていると思います。見ていただける方には『INTERVIEW』の世界にどっぷり浸かっていただきたい。そうしてもらえるように、みんなで力をあわせてやっていきます!


丘山:コロナ禍もそうですが、この作品の題材にもなっている精神的な病や虐待だったり、社会的な問題は常に存在しています。足を運んでいただいたお客さんには、何かしらのメッセージを届けたいし、感じたことを大切に持ち帰ってもらえるような作品にしたいと思っています。そのためにも、しっかり務めたいと思っています。


ーー初日、楽しみにしています!


(TOKYO HEADLINE・酒井紫野)