五輪聖火リレー、組織委が「密集」の定義や感染レベル別の対応方針を発表

3月25日に迫った五輪聖火リレー。(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 東京2020組織委員会は16日、3月25日にスタートする五輪聖火リレーの感染症対策について、観覧客へ注意を促す際の「密集」の定義や、感染レベル別の具体的な対応方針を発表した。


 聖火リレーの感染症対策を巡っては、先月25日、組織委が3密回避のためのセレブレーションの事前予約制や、オンライン観覧の推奨など具体的な対応策を発表した。その後、今月5日に聖火リレー・コロナ事態対応チームを発足し、具体的な事態における対応方針を議論した。


 発表された方針では、まず、沿道の観覧客への「密集回避」の対応が説明された。例えば、観覧客へフィジカルディスタンスを促す場合の「密集」の判断基準として、多くの観覧客が肩が触れあう程度に密接している、観覧客が十分な間隔を空けずに複数列に重なり合っているなどの項目を挙げた。組織委は先導広報車などからの呼びかけを実施し、実行委員会の沿道スタッフからは密集を避けるように呼びかける。密集の度合いが高く、歩行上の通行路を確保しにくいなど一般通行に支障が生じかねない状態になれば、警察と協力して注意指導を行い、それでも解消されない場合は、走行場所や区間のスキップも検討するとした。


 また、スタッフの体調管理については、アプリによる体調管理、東京からのスタッフは、スクリーニング検査により陰性を確認したうえで現地へ派遣する。


 事象レベル別の具体的な対策についても説明された。例えば、運営スタッフにおいて、感染者・濃厚接触者が1、2名程度の場合はスタッフの配置換えにより通常運営、感染者・濃厚接触者の発生により代替要員の確保が困難な場合は、確保できる代替要員の範囲で実行可能な縮小案を検討する。感染が拡大し、関係者におけるクラスターが発生した場合は、公道リレーの中止、セレブレーションのみの実施を検討するとした。運営スタッフ以外では、都道府県におけるクラスターが発生した場合、走行場所や区間のスキップを検討、また、当該都道府県において緊急事態宣言が発出された場合は、無観客のセレモニーのみ実施を検討するとした。


 組織委の中村英正ゲームズ・デリバリー・オフィサーは「オリンピックの理念、色々なものを乗り越えて1つになろうという象徴がまさに聖火。開催地の東京や自治体だけでなく、全国をめぐることで、機運醸成につながることを期待している。他方で、安心・安全の観点からは苦渋の難しい判断。ただ、安心・安全に聖火リレーを行い、何か起これば迅速に柔軟に対応していくことを皆様にお示しできれば、7月からの大会への理解にもつながるのでは」と話した。


 五輪聖火リレーは、3月25日に福島県・ナショナルトレーニングセンターJヴィレッジでスタートし、約1万人が7月23日まで121日間をかけて日本各地を巡る。