「SDGs学習の難しさ」に現れる日本の教育改革の重要性。“解がない”課題に向き合う力を
SDGsをテーマに、各界識者による活発な意見が交わされた「BEYOND 2020 NEXT FORUM 総合セッション—SDGsピースコミュニケーション—」。3月19日に開催されたフォーラムの様子を3回にわたってリポート。
第1部「SDGs学習カリキュラム」では、、若林理紗氏(デロイトトーマツコンサルティング スペシャリスト)をファシリテーターに、パネラーとして、堀潤氏(ジャーナリスト)、小宮山利恵子氏(スタディサプリ教育AI研究所所長・スモールワールズ教育委員会 委員長)、稲田萌花氏(早稲田大学グローバル科学知融合研究所)、朝日透氏(早稲田大学グローバル科学知融合研究所所長・早稲田大学理工学術院教授)が登壇。SDGs教育の重要性を語り合った。
ジャーナリストとして世界各国へ赴き、さまざまな社会課題の現場を取材している堀氏。子供たちにも語る機会がよくあると言い、子供たちに「SDGsとは理念ではなくニーズだと伝えるために、実際に取材して出会った人々のことを具体的に語り、SDGs目標が定められた背景にはこんな人々がいる現実があるんだよと伝えています」。堀氏の言葉にパネラーたちも「ようやく社会に広まり始めたとはいえ、SDGsの概念を教育の現場に落とし込むのは難しい」と話した。
朝日教授が「SDGsは簡単に解が出ないもの。正解を求めたいが、現実には解がなくても進めていかなければならないこともある。学生においても、解がない問題に取り組む力を身に着けてもらうことが必要だと思う」と語り、「大学でそれぞれ専門の学問を学ぶ中で知識を積み上げ、独創的な研究をやっていく。それがアカデミアの使命だけれど、自分で研究をやりきったと思っても、他分野の人と話したりコラボすると、自分とまったく違った考え方やアプローチに触れることができる。それが、実際にやってみる、ということ、それを教育に取り入れていくことはとても重要なこと」と語り、稲田氏も「私はまだ学生でもあり、朝日先生のもとでいろいろな経験をさせていただくことができましたが、一般的に大学では学んだことを実践する場が少ないと自覚しています」。
若林氏は、デロイトトーマツでも大学生に向けた実践的リーダーシップ教育のカリキュラムを実施していると紹介し「そのような学生の皆さんの体験の場づくりに参加するのは企業にとっても重要なこと。企業側としても学びの場、発見の場になっていると感じている」と話し、教育・学習領域におけるテクノロジーの活用について、さまざまな調査に携わる小宮山氏は「これからはインプットで終わるのではなく、アウトプットまでやる教育が求められていくのでは」と述べた。