石井杏奈 Anna Ishii|Daydream ーー月刊EXILE
アニメ『とらドラ!』『ゴールデンタイム』の原作で知られる竹宮ゆゆこさんの小説が、初めて実写映画化される。4月9日(金)に公開のその作品、『砕け散るところを見せてあげる』で、ヒロイン・蔵本玻璃を演じる石井杏奈に作品の魅力や役作りなどについて話を聞いた。
─映画『砕け散るところを見せてあげる』が公開になります。撮影から2年経ちますが、今の想いは?
「ずっと温めてきたからこそ、公開になることに対して少しずつ寂しさが増しています。世に出るうれしさはありますし、誰かが観て誰かのものになるのが映画だとわかっていますが、自分の元を巣立ったら、そこで終わってしまう気がします」
─どの作品でもそういう気持ちになるんですか?
「この作品は特にそうです。題材も登場人物も愛おしくて愛しか詰まっていないので、余計寂しく感じます……。まず、私が演じた玻璃のことが人として大好きです。健気でまっすぐで純粋で、いじめられても人間らしい心を失わず強い芯をしっかり持っています。そういう内に秘めたものを持っている女の子はカッコいいですし、誰よりも幸せになってほしいと応援したくなります。撮影中も『玻璃はもっと過酷だった』『玻璃だって苦しいんだ』と思うと、辛いシーンも頑張れてずっと支えられました。玻璃のことも玻璃でいられる時間も、すべてが愛おしかったです」
─実際、壮絶なシーンでは石井さんは驚くほど豹変していました。あのようなときはスイッチが入るんですか?
「やろうと思ってやったことはないです。決めごとは絶対に作らないようにしようと思っていて、現場で『この空気だったら、こういうお芝居がしたくなる』など、その場で感じたことを演じています。難しいシーンだとしても『こうしよう』と考えるのではなく、『こういう気持ちになるんだ!』と発見して、そうすると無心になれます。玻璃役は毎日そんな感じだったので達成感にあふれていました」
─そんな石井さんから見て、生死を分けるほどの体験をした玻璃の状況をどう思いますか?
「苦しいや悲しいなどはあとから感じるもので、その当時は戦うしかない、頑張るしかないので無我夢中だったと思います。終わった後は苦しくて悲しかったですが、側にいた清澄からその倍の幸せをもらったからこそ自分は生きられたなと。ただ、玻璃はあのような経験をしても、『私以外の誰かにこんな想いをさせられない』と思ったのではないかなと感じました。それぐらい優しくてまじめで強い人です」
─そんな玻璃を生き切った今作は、石井杏奈の女優人生の中でどんな位置づけの作品になりますか?
「10年後に『ターニングポイントだった』と言える作品になると思います。お芝居一本で頑張ると決めてから1本目の主演映画なので、今後も自分にとっていちばんの味方になり、ここで感じた想いがきっと人生の財産になると感じています。一生忘れたくない、忘れられない作品になるのではないかなと思います」
─石井さんにとってお芝居をするいちばんの原動力は何でしょうか?
「自分の生きる理由です。少し重いですが(笑)、そんな気持ちになれるのは素敵なことですし、演じた役や作品を観た人が明日も頑張ろうと活力にしてくれたらうれしいです。そうやって誰かのヒーローになったり、誰かを救える要素が映画やドラマなどのエンタテインメントにはあると思うので、このお仕事をずっと続けていきたいです」
─10代から女優のお仕事をしていますが、そういう想いが明確に固まったのはいつごろですか?
「最初のころは独りよがりで誰かのためというより、自分がどう演じたいか、自分がどう楽しむかということを重視していました。でも、『ソロモンの偽証』のときに私を含め新人のキャストがオーディションで集められ、みんなのお芝居を見ていたら感動して泣きそうになる瞬間が何度もありました。そのとき、『人ってすごいな、お芝居って嘘じゃないんだな』と可能性をたくさん感じ、それ以来、『人に伝えたい』という想いで演じるようになりました」
─自分がどう、ではなく、みんなのお芝居を見て意識が変わったんですね。
「お芝居は見ている人がどう感じるかで正解が決まると思います。それがおもしろいところだなと気付いてから、どんどん楽しくなっていきました」
─今はお芝居に対しての悩みや課題はありますか?
「今、私は22歳で高校生役と大人の役の、ちょうど狭間にいます。なので、自分がどう変わっていこうか、どう表現していこうかということは考えます。制服姿で髪を結べば高校生になると思いますし、何かの職業の服を着て言葉や行動を変えれば社会人にも見えると思います。ですが、貫禄やフレッシュさは、どちらかに寄っていかないといけないので。学生役は経験しているからまだできますが、たとえば25歳の保育士さん役で年齢相応の貫禄を出してと言われると難しかったり、そういう葛藤はあります。あと、悩んでいるわけではないですが、『あまり幸せになれないよね』とよく言われます(笑)」
─それはどうしてですか?
「闇を持っている人を演じることが多いからかもしれないです。たとえば玻璃役も『不幸の極限の役だね』と言われるのですが、自分ではそんな風に捉えてはいないです。不幸なことがあるほど些細な幸せを感じられるので、逆にいいと思います(笑)。そういう意味で私はあまりこだわりがなく、自分がどう演じ、どう見られるかというところには興味がなくて。それよりも監督が思い描く役の像と自分をなるべく一致させたいです」
─天性の女優ですね。今後は初舞台『てれびのおばけ』のほか、ドラマ、映画と出演作品が目白押しですが。役の切り替えはどうしていますか?
「あまり考えたことないかもしれないです。役ごとに読書している感覚といいますか。今日はラブストーリーで、明日はミステリーのような感じで、作品のジャンルが変われば頭も勝手に切り替わります」
─では、最後にそんな石井さんが目指す理想の女優像を聞かせてもらえますか?
「年相応に輝く女優さんでいたいと思います。先ほど言ったように今は10代と20代の狭間にいますが、それは貴重な時期でもあるので、この年齢でしかできない役で輝きたいと思います。そして、いつかお母さん役や大人の役などをいただいたとき、その人(役)としてしっかりと生きられるよう、経験を重ねていきたいです」
Movie |『砕け散るところを見せてあげる』
4月9日(金) 新宿ピカデリー、イオンシネマ ほかにて全国公開
平凡な日々を送る濱田清澄はある日、学年一の嫌われ者と呼ばれる孤独な少女・蔵本玻璃に出会う。玻璃は救いの手を差し伸べてくれる清澄に徐々に心を開くようになるが、彼女には誰にも言えない秘密があった…。その秘密に気づき始めた清澄に〈恐るべき危険〉が迫り、友人の田丸や尾崎姉妹も心配する中、物語は予測できない衝撃の展開を見せていく。この物語は、ラブストーリーなのか、サスペンスなのか…。ラストは世代を超えた壮大な愛に包まれる。
原作/竹宮ゆゆこ『砕け散るところを見せてあげる』
(新潮文庫nex)
監督/SABU
出演/中川大志、石井杏奈、井之脇海、清原果耶、
松井愛莉、北村匠海、矢田亜希子、木野花、
原田知世、堤 真一
配給/イオンエンターテイメント
https://kudakechiru.jp/
映倫/PG12指定作品
Movie |『ホムンクルス』4月2日(金) 全国公開
原作/山本英夫「ホムンクルス」
(小学館「ビックスピリッツコミックス」刊)
監督/清水 崇
出演/綾野 剛、成田 凌、岸井ゆきの、石井杏奈・内野聖陽
製作・配給/エイベックス・ピクチャーズ
https://homunculus-movie.com/
©2021 山本英夫・小学館/エイベックス・ピクチャーズ
Drama |『息をひそめて』(全8話)
4月23日(金) Huluにて配信開始
※初回のみ4話同時配信、以降毎週金曜1話ずつ追加
監督/中川龍太郎 脚本/中川龍太郎、高田 亮
出演/夏帆、村上虹郎、安達祐実、三浦貴大、瀧内公美、
光石 研、斎藤 工、石井杏奈、蒔田彩珠、萩原利久、
長澤 樹、横田真悠、小川未祐
https://www.hulu.jp/static/ikiwohisomete/
Drama |『ガールガンレディ』
4月6日(火) 放送開始
MBS 毎週火曜24:59〜/TBS 毎週火曜25:28〜
監督/瀧 悠輔、平井淳史、関根 淳
脚本/宮本武史、吉崎崇ニ 原案/BANDAI SPIRITS
出演/白石 聖、石井杏奈、大原優乃、
伊藤萌々香、出口夏希 ほか
製作/「ガールガンレディ」製作委員会・MBS/BSP
https://www.mbs.jp/girl_gun_lady/
Stage |『てれびのおばけ』
4月14日(水)〜18日(日) 下北沢・本多劇場
料金/客席観覧チケット ¥7,000(全席指定)
配信チケット ¥3,500
脚本・演出/鈴木おさむ
出演/今田耕司、せいや(霜降り明星)、藤田 玲、石井杏奈
問合せ/
チケットよしもと問合せダイヤル TEL_0570-550-100
http://www.imachan-stage.com/archive/all.html
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