草彅剛「普通にやっていけば、どうにかなる」徳川慶喜が好評<青天を衝け>

 


 話を慶喜に戻そう。徳川幕府の最後の将軍である慶喜は、これまでにもさまざまな俳優たちが演じてきた。のらりくらり、何を考えているのか分からない青年が、変化していく様は見どころでもある。


 草彅はどう臨むのかと問えば、「普通にやっていけばなるんじゃないかなって思うんですよ」と、さらり。「脚本が自然でスッと入ってくるので、本の通りにやっていけばそれなりになるんじゃないかと。気負わずに。激動なシーンもありますけど、そうなったらそれに飲み込まれていくと思いますし、その日その日で僕がなんとかやるんじゃないですかね」


 演出家、役者、仲間たち。これまで草彅のことを天才と称した人は少なくないが、とても草彅らしい回答に感じる。 


 撮影が進むなかで感じた変化について聞かれたとき、草彅はこう答えている。


「変化、変化……役の上でみんな死んで、撮影に来なくなっちゃうんですよね。渡辺いっけいさん(父・斉昭の側近)もいなくなっちゃうし、なんかどんどん。そういうとことろで、当時の人って本当に大変だったんだなって感じたりします。『3百4十何人やられちゃいました!』とか、昨日まで一緒に撮影していたのに、なんか打ち首になっちゃって、まじかよ!って。いろんな争いや戦いがあって、こんにちに至っているんだなって。それをキャストの方が撮影に来なくなって分かる。僕のなかで時代を感じているところです」


 脚本、キャスト、セットや衣装など大河ドラマを作るあらゆるものから、時代を感じながら、草彅は『青天を衝け』を「普通にやっていく」。そんな彼の姿を見られる日曜日を毎週楽しみに待つことができる2021年は、間違いなく幸せな1年だ。


『青天を衝け』は、 毎週日曜、NHK総合で20時~。BSプレミアム・BS4Kで18時~。再放送土曜13時05分~。


 


(本紙・酒井紫野)