羽生結弦 『帰国』【アフロスポーツ プロの瞬撮】

 スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。



撮影/文章:西村尚己(2021年3月30日 羽田空港)

フィギュアスケートの世界選手権(ストックホルム、3月22日~28日)に出場していた羽生結弦が3月30日朝に帰国した。


羽田空港での抗原検査と入国審査を終え、国際線ターミナルの到着ゲートに姿を現したのは、飛行機が到着してから約1時間半後のことであった。


閑散としたターミナルで羽生を出迎えていたのは、競技団体関係者が数名、代表撮影の報道関係者が数名のみ。


そして偶然その場に居合わせた人たちは、みな一様に少し驚いた様子でその姿を遠くから眺めていた。


羽生は出迎えに来ていた関係者だけでなく、周りにいる人たちにも笑顔で軽く会釈しながら、ゆっくりと出口に向かって歩き出した。


静かなターミナルを歩く姿はとてもリラックスした様子で、表情はとても穏やかだった。


重圧に耐えながらコロナ禍の中での厳しい戦いを終え、無事日本に帰ってくることができて、安堵したのであろうか。


そして最後に出口でカメラを構えていた報道関係者に向かって笑顔でこう話し空港を後にした。


「ありがとうございました。お疲れ様です。隔離されます。ありがとうございます」


時間にしてわずか40秒ほどの出来事であったが、ターミナル全体がほっこりした雰囲気に包まれたように感じられた。



【カメラマンプロフィル】

撮影:西村尚己

1969年、兵庫県生まれ。大阪大学大学院工学研究科修了。

人間味あふれるアスリートの姿に魅せられ、学生時代にスポーツ写真の世界と出会う。

大学卒業後は、国土交通省に勤務しながらアマチュアカメラマンとして活動するも、どうしてもプロの世界で挑

戦したいという想いが募り、2016年にアフロスポーツに転職。

現在は国内外のスポーツを精力的に撮影し、人間の情熱や鼓動、匂いなど五感で感じとれる作品づくりに励む。

2007年 APAアワード写真作品部門 奨励賞

2013年、2015年 写真新世紀 佳作 ほか


★インスタグラム★

https://www.instagram.com/naoki_nishimura.aflosport/



アフロスポーツ

1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している。

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