サヘル・ローズ「貧しい子どもたちに、お金ではなくペンを」 世界を旅して見つけた支援の形<できることから SDGs >

 女優・タレントとして活動するサヘル・ローズさん。彼女にはもう1つの顔がある。さまざまな国へ行き、国内外で子どもたちへの支援や青空教室を行う「教育者」としての顔だ。SDGsの理念でもある「誰ひとり取り残さない社会」を実現させようと、長年活動を続ける思いを聞いた。

【サヘル・ローズ】1985年イラン生まれ。7歳の時に養母に引き取られ、8歳で来日。女優・タレントとしてテレビ、ラジオ、映画などで活躍する。2009年、インドへの旅をきっかけに、恵まれない子どもたちへの支援を始める。これまでにカンボジア、インドネシア、バングラデシュ、ヨルダンを訪問。(撮影・蔦野裕)

希望と絶望を知ったインド

「いろいろな世界を見てほしい」。2009年、母の一言で世界を旅しようと決めたサヘルさんは、インドの空港に降り立った。24歳の時だった。

「母が昔インドに住んでいた時期があって、母の見ていた景色はどんなものだったんだろうと関心を持ちました。インドはすごく神秘的で、世界遺産などの素敵な場所がたくさんありますよね。でも壁一枚を隔てたら、真逆の世界が広がっていて。信じられないほど貧しい生活でした。牛の糞を固めた家や、水の出ない蛇口、ハエの死骸が入ったジュース。でも、そこに暮らす子どもたちの目はキラキラ輝いていて。苦しい状況で生活しながらも、“生きる”という意思を感じました」

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