サヘル・ローズ「貧しい子どもたちに、お金ではなくペンを」 世界を旅して見つけた支援の形<できることから SDGs >
支援=お金を渡すことではない
豊かさと貧しさが紙一重の世界で、サヘルさんは「支援」のあり方を学んだという。
「私はこれまで貧しい子どもたちに手を差し伸べられたら、お金を渡してしまっていたんです。そうしたら、それを見ていた母に怒られたんです。“それが1番子どもたちの未来を奪っているし、この国をダメにしている”と。そこで知ったんですね。お金を渡すことは決して正解ではない。子どもたちはまだ小さいからお金をもらえるかもしれないけれど、大人になって同じ行動をしたとしても、きっと誰からもお金をもらえない。魚をあげるのではなく、釣りの仕方を教えるのだと。
では、彼らが手に職をつけられるようにするにはどうしたら良いかと考えていた時に、カンボジアで性暴力などの被害を受けた女性たちが自立できるよう、雑貨を作る工房を経営しているNPOの方に出会いました。私も実際に行かせていただいて、皆さん一生懸命作業をされているんですね。仕事があることで雇用が生まれていくし、自国で生産していくことは、いつか私たちが身を引いた時に大切になってきます。支援は永遠であってはいけないんですね。期間を決めて地盤を固めたら、こちらは身を引かなくてはいけない。そうでなければ、いつまでもその国のGDPを上げることはできないからです」