サヘル・ローズ「貧しい子どもたちに、お金ではなくペンを」 世界を旅して見つけた支援の形<できることから SDGs >

出会った責任

イランで生まれ、4歳で孤児院に身を寄せたサヘルさん。カンボジアの孤児院で出会った少女にはかつての自分を重ねていた。

「孤児院の子どもたちから見れば、私たち外国人は、ここから連れ出してくれるかもしれないという“命綱”。帰ろうとすると離さないんですね。帰り際、ある少女からもらった写真の裏を見ると、“私をもらいに来てね”と一言書いてありました。孤児院の子どもたちは自分の写真を持っていることが少ないので、それがどれくらい貴重なものか分かっていました。その子は大切なものを私に託してくれたんです。本当は手を引いて孤児院から出してあげたかった。でもそれができないことに、自分の無力さを感じました。旅には“出会った責任”があると思っています。出会って終わりではない。彼らがくれた問題点に自分がどう向き合って、道を開かなければいけないのか。その少女との出会いで感じました」