〈インタビュー〉青木真也の思う自らの強さの秘密「限りがあること、自分の手持ちの武器、自分の弱さを知っていること」【4・29 ONE】
「無観客試合は味気ない。全然面白くない」
--約2週間前に対戦相手が変更された。これによる試合への影響は?
「相手がどうこうだからと変わることはないですね。変わらず準備をしています」
--試合に向けてのプロモーションとか、試合後のメッセージ。そういうところへの影響は?
「そういうところも実はあまり変わらないんです。相手がどうこうで試合は作っていない。僕がどうするかで試合を作っていますから。逆に相手がどうこうでプロモーションを作ろうとしているというのは、すごく表層的なことじゃないですか。だから僕はそこでは作っていないのであまり大きな軸は変わらないです」
--では取りあえずすべてのセッションで変わりはない?
「見せたかったり、僕が描きたかったものは、相手が変わるとか予期せぬことが起こったことによって、より見せられるようなところはあるので、特にそんなに変わらないかなと思いますね。少しスパイスが盛り込まれて、ありがたいくらいです」
--新型コロナウイルスの感染拡大防止の施策として、昨年は無観客での試合が多く行われた。青木選手も無観客の中で試合をした。率直にどういう心境でした?
「やっぱり味気ないです。全然面白くないです」
--ファンの声が聞こえないのが一番?
「一緒に作れないので、なにをすればいいのか、どういうものを作ればいいのか分からないじゃないですか。だから面白さは全然ないですよね。マイク一つ取っても味気ない。でもこれで面白いのが、無観客試合のほうがやりやすいっていう選手もいるわけじゃないですか」
--そういう声はありましたね。
「それはただのスポーツ選手なんです。僕は作り手として、いかに観客と一緒にものを作るかというようなことを考えている。日本の、特にONEに出ている選手だと“お客さんがいないほうがやりやすい”とか言うんだけど、なんかちょっと笑っちゃいますよね。なんか、おかしいなって思っちゃうんです」
今回の取材は新型コロナウイルスの感染防止からリモートで行われた。
--新型コロナ禍で取材や公開練習がリモートで行われることが増えています。こういった取材はどうですか?
「面白くないですよね。みんなリモートに甘えていますけど、やっぱり会わなきゃダメですよ、人は。そうじゃないと全然いいものなんかできないですよ。こうやって話をしていても間が読めない」
--無観客でのケージやリングで観客とのやり取りができない状況って、こういうもどかしいもの?
「これよりもより強いと思いますし、より苦しいと思いますよ。だってなんにもできないんですから」
--青木選手は試合等の自らの表現について「物語」という言葉を使います。無観客というのはその物語を作るうえでは影響する?
「物語においてはお客さんがいるいないはあまり関係ないんです。どういうものを作るか、どういうメッセージを送るかということは毎回考えているので」
--試合後にマイクでメッセージを送るときに観客の反応によって変わることはない?
「変わらないですね。正直なところでいうと、本当に自分が伝えたいメッセージって、数人に向けて作っているんです。距離が近いところにいる人に“ありがとう。おまえらにこういうことを伝えたいんだ”というような数人や数十人に向けているメッセージが広く伝わる、といったやり方をしているので、実はあまり関係ないのかなと思っています」