亀田誠治「音楽でみんなを、なだらかに包みたい」 日比谷音楽祭 2021への思い
音楽を作る文化を守りたい
「親子孫三世代がさまざまな音楽体験ができるフリーイベント」という日比谷音楽祭のアイデアの源泉はニューヨークの『サマーステージ』にある。毎夏、セントラルパークで行われている無料の音楽イベントで、30年超の歴史がある。若手から大御所までさまざまなジャンルのアーティストが出演。その運営は多くの寄付で成り立っている。コロナ禍前の数字になるが、セントラルパークのために70億円の寄付が集まり、『サマーステージ』や公園管理の資金として使用されているという。
「僕は『日比谷音楽祭』で、ただ無料のフェスをやりたいのではなくて、互助の精神といいましょうか、さまざまな企業や一般の方にも“音楽を作るという文化”を守ることに参加してもらいたいと思っていて、そのために新しいお金の循環を作りたいからなんです。まずは本物の音楽の楽しさや素晴らしさを体験してもらって、その上で一般の方ならクラウドファンディングに参加してみようとか、企業の方なら企業としてこのイベントをバックアップしてみようかと思ってくれるんじゃないかと考えています。イベントだけでなく興味を持ったアーティストを応援してくれるのでもいいんです。音楽業界は不況だ、CDが売れないというなかで、そもそものお金の循環の仕組みを考えよう、と」
そんな思いを抱えて、初回開催時から、スーツにネクタイで企業に出向き、協力を求めたという亀田。コロナ禍の影響は無かったのかといえば、「オンラインでのプレゼンや打ち合わせの数はたぶん何百という回数にのぼります。僕のスケジュールはまさにあみだくじ状態ですが、そうやって自分の言葉で『日比谷音楽祭』の思いをお伝えすることによって、中には自ら手を挙げてくれる企業もいます」