2人の日本の次世代のリーダーによる 「地球を1つの学校にする」ためのすごい教科書。【寺尾聖一郎の「SDGsなライフシフト」】

このコラムでは、国内外のSDGsの最新情報を元に、17のSDGsのカテゴリーから毎回スポットを当て、教育、ライフスタイル、ビジネスなど“日本一わかりやすいSDGsコラム”を目指して連載させていただいています。 今回は6月2日発売の書籍『WE HAVE A DREAM 201カ国202人の夢×SDGs 』(いろは出版)について紹介します。

『WE HAVE A DREAM 201カ国202人の夢×SDGs 』(いろは出版)

 書店や、AmazonでSDGsに関する本はこれまで何冊も出版されているが、今回の本は全く違う。とても読み応えのある書籍であり、教科書。『WE HAVE A DREAM 201カ国202人の夢×SDGs 』は、世界201ヶ国、202名のミレニアル世代、Z世代が自ら「夢」を語る、世界中に届ける壮大なメッセージで、心こもった熱い夢のメッセージは 544ページにも及ぶ。

 このタイトル、どこかで聞いたことのあるフレーズだと思ったのは私だけではないだろう。

 そう、I Have A Dream! といえば、1963年のワシントン大行進でアメリカのキング牧師が、差別撲滅のために貫き通したかの有名なメッセージ。キング牧師の時代から60年近く年が経ち、1人のリーダーであったキング牧師の世界的なメッセージが、今、形が変わって、世界中から202名のメッセージが集められ、次世代の各国の若きリーダーたちのDreamがこの本を通じて発信されようとしている。

 一体、こんな出版プロジェクトを誰がプロデュースしたのか? 著者が気になるところだが、書籍の表紙には著者の名前がない。「ノーベル平和賞を受賞したムハマドユヌス氏が絶賛!」と書かれた帯がこの本の価値を表している。その帯を捲ると小さく、編=World Dream Projectと記されている。

 このプロジェクトこそ、2人の若き日本人による壮大なプロジェクト「地球を一つの学校にする」の一環としてスタートした、世界に向けた教科書プロジェクトなのである。

 実は、2人のプロジェクトリーダーの1人は私が数年前から知る方で、平原依文さんという非常にパワフルなミレニアル世代の方だ。彼女は小学校から親元を離れて単身で中国に留学し、その後、学校で知り合う各国の友達の国々に興味を持つ度にそれぞれの国へ留学。カナダ、メキシコ、スペインと次々に移住し、日本に戻ると、外資系の大手医薬品メーカーに勤務。その後、Googleの人材開発最高責任者任者が起業したコンサルティング会社でコンサルタントとして多くの大企業のコンサルタントとして働かれていた時に知り合った。

 英語、中国語、スペイン語を操る超グローバルな彼女の夢は「教育ビジネス=学校を作る。」事だと言う。さらに驚いたのは、世界196カ国から1700人以上の「ミレニアル世代」の若者が集う、“ヤング・ダボス会議”とも称される国際フォーラム「OneYoungWorldサミット(以下OYW)」に2018年、2019年の2年連続で日本代表の一人として自らエントリーして登壇。世界へ彼女の夢を発信しているのだ。

左から、市川太一さんと平原依文さん 共にWORLD ROAD Inc. CEO

 OYWの目的は、SDGsに代表される社会課題の解決に向けて次世代のリーダーシップを開発、支援することだ。まだ日本ではなじみのないグローバルフォーラムであるが、2020年10月にはコロナ禍のTOKYOでオンライン開催された知る人ぞ知る国際フォーラムだ。

 彼女は、2018年オランダバーグで開催されたOYWでもう1人の日本人代表、市川太一さんと出会う。市川さんは、大学生の頃からクラウドファンディングで、地元である福島の高校生をOYWに派遣しながら、数年にわたってこのフォーラムに携わっていた超エネルギッシュなリーダー。

 市川さんは、福島の進学高校に通っていたが、大学受験のための進路相談室に行った時に大学を受けるための画一的な手法の進路指導しか受けられない現実に失望する。市川さんが期待していたのは自身の未来に向けた相談。大学で、何を学び、その先にある夢や自己実現に向けて、どの大学への選択肢があるのか?といった前向きな相談に乗ってくれると期待していたのだ。しかし、そこにあったのは受検を突破するための手段や教科書で、求めていた答えはそこになかったのだ。自分はどんな生き方ができ、どんな人生を送るのか? 先の未来を示す教科書や指導システムが、今の教育現場に無い事に気づいたのだ。それが「ならば、自分で作ろう!」と思い始めたきっかけとなった。

 その後、青山学院大学に入学。大学生活は積極的にグローバルな体験をしまくったそうだ。特に大きな転換となったのが幼い時から好きだった海外のドキュメンタリー番組の影響。特にアフリカへの興味が高く、まずはガーナへ旅をした。そしてそこで大きなショックを受ける。テレビで知るガーナは、貧しくて、可哀想な国。なのに現実は全く違う。人々は決して貧しい訳ではなく、不幸ではなく、物も買えるし、極めて幸せな現実を目の当たりにして、メディアの情報とのギャップに気づくのである。

 自分には何ができるのだろう?考え抜いた末、大学生活で決心したことは、「世界をもっと知ること。」だった。そして壮大な計画「地球を一つの学校にする」を決心したのである。

 そんな未来への夢と決断をしていた平原さんと市川さんは、2018年のOYWで偶然にも出会い、お互いの夢が一致して、直ぐにworld road社(http://www.worldroad.org/)を起業する。

 そのミッションとビジョンには、鳥肌が立つほど夢のある目標が掲げられているので紹介する。

 

  •  Mission =地球を1つの学校にする Building the world into a single school
  •  Vision=国籍、人種、年齢、組織 世界中の境界線を溶かす

 

 世界の境界線を溶かすために、この教科書は生まれたのである。ミレニアル世代の次世代のリーダーに最も近いと思う、2人が企画したのがこの書籍だ。

 出版元は京都のいろは出版。この出版社と市川さんとの出会いは高校生時代に遡る。実は市川さんが高校生時代に感動した本『高校生の夢』、いろは出版はその出版社。その代表のキムさん(木村行伸氏)にメールすると、キムさんが即答したのだ。

いろは社は、極めて魅力的なビジョンを掲げている出版社で、代表の挨拶では、こんな宣言をしている。

~うちの会社の根底にあり、一番大事にしているものそれは「愛」です。~

 そして、自ら編集の現場を引き受けて、チーフエディターとして543ページの大教科書プロジェクトを買って出たのである。

 非常に読みやすい構成で、それぞれの夢に関するSDGsの番号を最大3つ表示されているので、その国の目標が一目でわかる。我々に名前も歴史も薄い国々や、遠くで近い北朝鮮、今混乱の中にいるミャンマー、シリア。紛争が始まる気配のイスラエル、パレスチナなど各国のミレニアル世代、Z世代の生の声が伝わってくるのだ。

 

 2人の若きソーシャルイノベーターと詩人でもある出版社の社長がダッグを組んだ、世界向けの夢の教科書。そこから我々は多くの現実に気づき、感じ、そして、学校やメディアでは教えてくれることのない貴重な世界の思いを知る事になるだろう。

 ぜひ多くの人々に手に取っていただき、何度も読み返してもらいたい。こうして記している私もこれからじっくり熟読させてもらおうと思う。

 出版にあたり、6月2日から東京・代官山T-SITE GARDEN GALLERYにて記念展示会が開催される。夢を選り抜き、立体的に本書の魅力を伝える展示会イベント。きっと多くの人たちが、世界の現実と未来の夢のメッセージをリアルに体験できる場となることだろう。。

 

 

『WE HAVE A DREAM -201カ国202人の夢×SDGs-』出版記念展開催

日時:2021 年6月3日(木)〜6日(日)9:00~20:00(最終入場19:45)
場所:代官山T-SITE GARDEN GALLERY
入場料:無料

問い合わせ:いろは出版 出版事業部 広報 今井(haruka@hello-iroha.com
※新型コロナウィルス感染症対策の徹底して行われるが、社会情勢により急きょイベントプログラムが変更になる可能性あり。

市川太一さんのプロフィール
大学時より196ヵ国が参加する、青年版ダボス会議に参画。青山学院大学卒業後、株式会社アミューズに入社。新規事業を担う会長直下部署にてインバウンドチームの新設等担当。スタートアップで事業企画を経験後、自分にしかできないことを人生と世界に残すべく、WORLD ROAD設立。地球を一つの学校にするのが人生のビジョン。「地球一個分の教育」を届けている。

平原依文さんのプロフィール
青年版ダボス会議の日本代表。小学2年生から単身で中国、カナダ、メキシコ、スペインに留学。東日本大震災がきっかけで帰国し、早稲田大学国際教養学部に入学。新卒でジョンソン・エンド・ジョンソンに入社、デジタルマーケティングを担当。「社会の境界線を溶かしたい」と考え、WORLD ROADを設立。

寺尾聖一郎(てらおせいいちろう)ソーシャルコンテンツプロデューサー
1964年 東京都生まれ。(株)リレーションズ代表取締役
エンタテインメント&コンテンツビジネスを中心に31年間勤務した大手広告代理店を2020年に早期退職。自らパーソナルトランスフォーメーション(PX)を志し、人生100年時代のセカンドライフを実践挑戦中。”アイデアで世界を繋ぐ”をコンセプトにしたクリエーティブ&㏚会社(株)リレーションズを設立。東京浜松町に2020年8月に開業したダイアログミュージアム”対話の森”や、ダイアログインザダーク、ダイアログサイレンスなどのPR&企画プロデュースなどを手掛けている。趣味は料理(調理師)、テニス、防災キャンプ。
資格:障がい者スポーツ指導員、准認定ファンドレイザー行政書士、宅建、調理士
NPO法人LWC理事「クイズに答えてお米を寄付するサイトハッピーライスの運営」
https://happyrice.org/
公式サイト:relationsholdings.com
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