別所哲也「デジタルと向き合うことでリアルの大切さ実感」コロナ禍の短編映画祭で得た気づき
俳優でショートショートフィルムフェスティバル&アジア代表の別所哲也が18日、オンラインセミナー「Deloitte Digital Week 2021 Hello New(デロイト デジタル ウィーク 2021 ハロー ニュー)」セッション3に登壇し、スピーカーの宮下剛氏(デロイト トーマツ コンサルティング執行役員)、モデレーターの若林理紗氏(デロイト トーマツ コンサルティングスペシャリスト)とエンターテインメントの未来を語った。
5日間にわたって行われる「Deloitte Digital Week」3日目のセッション3「New Era of Entertainment」スペシャルゲストとして登場した別所は、俳優業の傍ら国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア(SSFF&ASIA)」を主宰。幅広い活動の原点はデビュー作のハリウッド映画『クライシス2050』であることを明かし「アクターというのは行動する人だと教えられ、そこからさまざまなことに興味を持って行動し、前進したことが現在につながった。ノウハウの前にノウフー(Know Who)、つまり誰とノウハウを分かち合うかで人生は変わってしまう。自分の実現したいことのために誰とつながったら良いのか、自ら考えて行動したことがいろいろなことにつながっている気がします」と振り返る。
1999年に産声を上げた「SSFF&ASIA」に話が及ぶと「1997年、ハリウッドで10本のショートフィルムを見る機会に恵まれた。エジソンやリュミエール兄弟が発明した当時から、映画の原点は実験的なショートフィルムですし、ジョージ・ルーカス監督やトム・クルーズのキャリアのスタートもショートフィルム。90年代後半はインターネットが普及し始め、音声配信の次は動画配信だとシリコンバレーにエンジェル投資家やウェブ技術者が集まった頃。21世紀に向かって大きな時代の波が動き出すのを肌で感じ、ショートフィルムの映画祭を立ち上げました」と熱弁。
昨年は新型コロナウイルスの感染拡大で、例年より3ヵ月遅れの9月16日から感染対策を徹底して開催。何もかも手探りの状態から、ニューノーマルの形で行ったイベントを別所は「今振り返れば多くの新しい考え方が生まれ、知見が深まった」と総括する。この20年間に「現在はオンラインでエントリーできるようになって、上映方法もデジタル機器に変わり、ドローンやVR、XRなど撮影技術も進化している。縦型動画やスマートフォンだけで撮影された作品、SDGsや環境問題をテーマとした作品も増え、広告と映画が融合したブランデッドショート(BRANDED SHORTS)と呼ばれるコンテンツ、地方創生のための観光映像などがストーリー性を持つようになり、新たなショートフィルムとして魅力を放っている」と映画祭の変化にも触れた。