LGBTQが最も生きづらいのは「職場」。全国5千人の調査で判明。仲間の困り事にどう気づく?
「生きづらい職場」のわけ
会に出席した一般社団法人fair代表理事の松岡宗嗣氏は「ひどいものから身近なものまで、さまざまあると思います。ひどいものだと、就活で面接を打ち切られたり、職場の飲み会で笑われたり、身体を触られるといったこと。また、日常の会話の中で傷ついていることもあります。例えば、“週末どこ行ったの?彼女と?”といった異性愛を前提とした会話や、“男なのにナヨナヨしているよね”など、男性が女性的な振る舞いをしていると侮蔑的な言葉をかけられてしまうなど。これらは突き詰めていくと、ジェンダーやセクシャリティに対する当たり前が押し付けられていること」とし、社会の「当たり前や普通」といった価値観が当事者を傷つけている点を指摘した。
NPO法人東京レインボープライド共同代表理事で、株式会社ニューキャンバス代表の杉山文野氏は、職場の理解の仕方にも課題を指摘した。「最近ではLGBTQという言葉の浸透度や理解が進んでいるところもありますが、よく言われるのが、“LGBTQは大人のベットの上の話でしょ。職場まで持ち込まないで下さいよ”ということ。LGBTQの話は、性行為の話ではなく、アイデンティティの話。ここにまず勘違いが生まれてしまっているのでは」と、正しい知識や理解を持つ大切さを伝えた。
女性から男性へのトランスジェンダーである杉山氏は、当事者ならではの視点も。「カミングアウトしない限りわかりにくいレズビアン、ゲイ、バイセクシュアルと、見た目が変わっていくトランスジェンダーは少し違う。トランスジェンダーには、性別特有の移行期があって、僕も女子高生から髭の生えたおじさんになるまで、色々な段階がありました。見た目や戸籍など、今トランジション(移行)のどの段階にいるのかで対応が変わってきます。また、トランスジェンダーには、“これからトランジションします”という未来のカミングアウトと、“昔女性でした”といった過去のカミングアウトがある。簡単にマニュアル化できないので、しっかりと知識をつけて、一人一人に向き合う姿勢が大切」と話した。