すべての人がマイノリティ。障害と健常のあいだを探る500日間のドキュメンタリーで見えたもの
監督への信頼が伝わる、和やかなインタビュー。
みんな「ダメなところ」はある
―作品のこだわりはどんなところでしょうか。
佐藤:映画の中では、障害についての具体的な説明は入れませんでした。この人は障害者、この人は健常者といったように、障害のあるなしを描くことは極力避けました。
石川:監督だって撮影よりお酒飲んでばっかり(笑)。でもそんな人柄だから、みんな「監督がんばってよ」って、(出演者と)壁を作らない作品になったと思います。
佐藤:そうそう。監督を含め「みんなダメ」なんですよ。ダメなところはみんなある。その加減とベクトルの違いだけなのかなと思うんです。だから、あえて健常の出演者にも「障害ありますか?」と聞いています。この映画を見れば、この人が障害者、この人が健常者、と分けることはできないと気づいてもらえるはずです。障害って、行政上の区分でしかなくて、本来みんながグラデーションの一部であり、「私もその中にいるのだ」と、作品を見た人に思ってもらえたらうれしいですね。それは、障害だけではなくて、日本に暮らす外国人やLGBTなどもそう。そうやって、マジョリティとマイノリティの境をなくしたい。完全に無くすことはまだ難しいかもしれないけれど、「壁」が「でこぼこ」ぐらいになればいいなと思っています。