山田孝之「ここに出てくる人たちを救う手助けを」劇中人物への思い入れに佐藤二朗監督も困惑

 

 映画『はるヲうるひと』舞台挨拶が5日、都内にて行われ、山田孝之、仲里依紗、坂井真紀と佐藤二朗監督が登壇した。

 同作は、佐藤二朗が主宰する演劇ユニット「ちからわざ」による絶賛舞台の映画化。佐藤が原作・脚本・監督を手掛け、自らも出演。架空の島の売春宿を舞台に、死んだように生きる男女が、それでも生き抜こうともがく姿を描く。

 冒頭、主演の山田が「この後は『るろうに剣心』を見に行ってください」と、同日に初日を迎えた『るろうに剣心 最終章 The Beginning』を引き合いに出すと、佐藤監督は「なんてことを言うんだ!」と慌てつつ、山田から「同じ映画の仲間ですから」と言われると納得してしまい、笑いをさそった。

 主人公・得太(とくた)役の山田が「僕は(得太に)一瞬、寄り添えましたけど(演じ終わって)また一人になってしまいかわいそうだなと思っていました。でもこうやって多くの人に見ていただいて得太も救われたと思う。僕も重荷が下りました」と、自身が演じた主人公に対する思いを語った。

 まるで実在する人物に対するような山田の言葉に、佐藤監督が「孝之がこの役を引き受けた理由というのが、僕が舞台版で得太を演じた後、得太が一人になってしまってかわいそうだから、と。ちょっと、頭おかしいなと思ったんですけど」と冗談めかしつつ「でも現場では、どう考えても本当にそう思っているとしか思えない演技だった」と、あるシーンの撮影で1日中、涙を流していたという山田の役への入り込みようを明かし「誰も近寄れなかった」と振り返った。

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