五輪観客向けガイドライン発表も「社会のルールとして守って」「自発的、自律的に守って」と実効性には疑問符
古宮正章副事務総長(Photo by Tokyo 2020)
果たしてJリーグとサポータのような信頼関係を築くことはできるのか…
古宮氏は来場する観客に対し「大会を一緒に作っていただく一人として協力をお願いしたい」、一般のファンに対しても「会場以外で大会を応援する方にはぜひ自宅等でテレビ観戦等による応援をお願いしたい」などと人流抑制への協力を要請した。
ガイドラインには入場を断るケースについての項目もあるのだが、鈴木氏は「チェックするのはなかなか難しい。ルールをご理解いただきご来場いただきたい」とチェックについての困難さを認めたうえで「これはオリンピックの会場に来る時だけではなくて、社会生活の中でレストランなどを利用する場合も職場や学校に行く場合も同様のことだと思う。社会のルールとして守っていただきたいということをお願いしたい」と語るなど実効性に疑問符が付く内容となった。
また試合後の「直帰」についても古宮氏が「具体的な対策はなかなか難しい。今あるいろいろなイベントでも起こっているが、自発的、自律的に守っていただくことに期待するしかない」とこちらも実効性についてははなはだ心もとない。組織委としてはJリーグの高い直帰率を例に挙げ「主催者とチケットホルダーが協力して感染対策に万全を期している。議論の中でそういうスピリットを生んでいくことが非常に重要だという強いメッセージがあった。そういった趣旨をしっかり踏まえて大会に臨んでいきたい」(高谷正哲スポークスパーソン)という思惑のよう。
会場内での飲酒販売問題が報道された時の世論の反応を見る限り、果たして組織委は観客と、Jリーグとサポーターのような信頼関係を築くことができるのだろうか。