渋谷・新宿・銀座・上野…80年代と現在を定点観測『東京タイムスリップ1984⇔2021』
写真上:善本喜一郎著『東京タイムスリップ1984⇔2021』(河出書房新社)/写真下:新宿駅東南口1984⇔2020
雑誌「平凡パンチ」特約フォトグラファーだった著者が、写真専門学校の卒業生有志で行った展覧会のために撮影した1984年の繁華街。コロナ禍でネガフィルムの整理をはじめたことで、時空を超えて現在の同位置・同角度からの写真を新たに撮影し、対照的に並べて比較した写真集が本書である。
いつの時代も若者の街だった渋谷や新宿が、37年を経るとこんなにも変わるものなのか。著者がモノクロ撮影を主戦場としていたこともあって、経過した年月以上に失われた時間や風景を思わせる。当時を知る人には懐かしさやノスタルジーが、今の若い人には目新しさが感じられる構成。写真の下に添えられているキャプションにも、思わず「そうそう」とうなずいたり新たな発見があったり。
現在の街並みは2020〜2021年にかけて撮影されているが、このコロナ禍の風景もきっと数十年後に懐かしむ日が来るのだろう。