映画『空白』主演・古田新太「よく怖そうって言われるけど…」実際は監督にも、街で“職質”されても“イエスマン”!?

古田新太(撮影・蔦野裕 ヘアメイク:田中菜月 スタイリスト:渡邉圭祐)

“職質”されても「快く協力」する古田新太にとって「怖い」のはヘタな演出家!?

 古田のリラックスタイムは“ホーム”である三軒茶屋・下北沢エリアで過ごすひととき。

「東京で好きな場所と言ったら、世田谷。といっても、成城とか高級住宅地のある側じゃなくて、三茶、下北、明大前。この流れは、われわれインディーズ出身の人間は落ち着くんです。バンドマンや役者がバイトしているような小さい店で、そこで会った人と話ながら飲むのが楽しい。自分がそうだったから、いまだに自分も彼らと同じだという気持ちでいるんです。麻布や銀座なんて行こうとも思わないし、渋谷や新宿だとわざわざ出てきた感があるし。高いお店に行くより、下北の焼き鳥屋で若い子たちの話を聞いているほうがずっと楽しいですね。オイラはすぐ相手を下の名前で呼んじゃうので、世代が違ってもぜんぜん関係なく話すんです。今はコロナで、なかなかそういう時間を過ごせないですけどね」

 最近は、こんな弊害も。

「コロナになってから、やたらと職質されるんです。普段、サングラスをかけているんですけど、コロナでマスクをするようになって怪しく見えるせいなのか…。職質って、1回、声をかけると最後までしないといけないらしいですね。今“あっ…”って顔したよね、オイラのこと気づいたよね、と思うけど、普通に協力してます。“本人確認できるものを見せてください”、“はい、分かりました”って、やってます」

 監督のオーダーに対しても、職質に対しても合理的な“イエスマン”。周りのすべてに怒りを向け、恐れられる添田とは真逆。そんな古田にとって“怖い人”とはどんな人?

「オイラは若いころから、あまり怒られないタイプだったので、あまり“怖い”と思った人って記憶にないんです。そもそも優秀な演出家は、あまり怒らない人が多い。ヘタな監督、演出家はムダに怒る人が多い印象ですね。そういう人が、ある意味“怖い”です。まさに添田が典型的なそのタイプ。怒ったって仕方がない、それよりちゃんと伝わるように説明すればいいのに、それができないから自分がイライラしてまた怒る…という悪循環を生んでいることに気づけない。そういうデリカシーの無い人が“怖い”です」

 古田が“イエスマン”になれるのは、きちんと伝えられる監督と、監督の意図をすぐに汲み取る古田のセンスによるものなのかも。

「でも逆に“あっ、この人…”と思ったら、もっと早く仕事を終わらせます(笑)」

 一方、初めて共演する人からは“怖い人だと思っていた”と言われるとのことだが…。

「よく言われますね。でも大抵すぐに“古田さんって本当は優しい人なんですね”となります。ただ、そこからさらに一緒に芝居していると“なんだか見透かされているような気がして、やっぱり怖いです”と言われたりもします。全然、そんなことしてないんですけど」

 やはり、いろいろな意味で“俳優・古田新太”が一番、怖いのかも…。

(TOKYO HEADLINE・秋吉布由子)