SDGs未来都市・豊島区のこれから

高野之夫豊島区長と一木広治豊島区 SDGs 未来都市推進アドバイザー が描くまちづくり

 毎日の生活のなかに取り込まれ耳にしない日はないといっても過言ではない、SDGs(持続可能な開発目標)。2030年のゴールに向けて、さまざまなレベルとアプローチで目標達成を目指して活発な動きがある。「SDGs未来都市」そして「自治体SDGsモデル事業」に選定された豊島区は、東京都のなかでも、SDGsに積極的に取り組み、先進している自治体。豊島区がなぜSDGsに注目したのか、そして目指すところは? 豊島区の高野之夫区長と、同区の「SDGs 未来都市推進アドバイザー」を務める一木広治氏が未来の豊島区像に思いを馳せる。

左から、一木広治豊島区 SDGs 未来都市推進アドバイザー、高野之夫豊島区長(写真・蔦野裕)

“消滅可能性都市”から大転換 大きく変わった豊島区

 

ーー豊島区はSDGsにおいて、東京都の自治体のなかで最も先進している自治体のひとつ。さまざまな活動をされているなかでも、子どもたちとの取り組みに力を入れられています。

高野之夫区長(以下、高野区長):豊島区は、2020年の7月、内閣府から「SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業」に選定されました。未来に向けての取り組みを進めていくわけですので、これは子どもたちが主役でなくてはと思い、そこで、区立の小・中学校30校それぞれが主体となったSDGsの取り組みを開始したのです。「さあ、やろう!」という掛け声に加え、各校に予算をつける検討もすぐに始め、子どもたちが考えた取り組みを実行に移しやすいようにしました。以前からSDGsに取り組まれている学校もあれば、まだこれからという学校もあるなか、それぞれの状況にあわせた取り組みが進んでおり、いま現場は、良い方向に向かって活力があふれています。それぞれの学校や地域の特色を出しながら、個性ある動きが進められています。

一木広治 SDGs 未来都市推進アドバイザー(以下、一木):SDGsに取り組んでいくうえで子どもたちの存在が重要というのには同じ考えです。私が代表幹事を務めている「BEYOND2020 NEXT FORUM」(内閣府認定事業)には、TOKYO2020、オリンピック・パラリンピックのレガシーを今後どう生かしていくか考えることを目的に、さまざまな世代の有識者や企業・団体が業界を超えて集まっていますが、そのなかから創出されたSDGsのテーマに基づいて、コミュニケーションの力を駆使して平和な社会づくりをしていこうという「SDGs ピースコミュニケーションプロジェクト」を2019年にスタートさせました。次世代に向けた人材育成を考えていく中で、やはり将来を担っていく子どもたちの意見を聞く、意見を汲み上げていくことは重要だというコンセプトになりました。

高野区長:SDGsのゴールは2030年となっていますが、さらに未来に向けて、次代を担っていく子どもたちにバトンをつないでいくことが大切ですよね。

一木:そのためにも子どもたちにSDGsを学んでもらいたいというのがありまして、早稲田大学、デロイトトーマツコンサルティング、そして私たちのプロジェクトで、小学生向けのSDGsカリキュラムを作成しています。昨年になりますが、福岡市で2回ほど実証実験をしました。豊島区での展開も実証実験として現在ご相談させていただいています。

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